東証、従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会(第3回)
岩田合同法律事務所
弁護士 久木元 さやか
1 はじめに
東京証券取引所(以下「東証」という。)は、実質的な支配力を持つ株主(以下「支配的な株主」という。)を有する上場会社(以下「従属上場会社」という。)を巡る近時の事例が示唆する問題点、支配的な株主と従属上場会社の少数株主との間の利害調整の在り方、少数株主保護の枠組み等について議論を行うため、学識経験者、上場会社及び投資家が参加する研究会(以下「本研究会」という。)を設置した[1]。
本研究会は、第1回(令和2年1月7日)及び第2回(同月27日)の開催を経て、同年7月1日に、第3回が開催された。
2 第1回研究会及び第2回研究会の概要
⑴ 第1回研究会(課題の設定等)
第1回研究会においては、従属上場会社に関する昨今の状況を踏まえ、以下のとおり課題が設定された。
① | 従属上場会社においても上場子会社と同様に、支配的な株主の影響力行使により少数株主の利益が損なわれるおそれがあると考えられること |
② | 特に上場後に支配従属関係が形成された会社において、支配従属関係を踏まえた少数株主保護の認識が必ずしも十分でないと考えられること |
③ | 従属上場会社において社外取締役が不在となった事例[2]を踏まえ、従属上場会社において少数株主保護の枠組みを充実させていくことが考えられること |
④ | 投資者が支配従属関係を有する会社に対して投資判断を行う上で、支配的な株主及び従属上場会社において、どのような情報の開示が必要か |
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(くきもと・さやか)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2015年東京大学文学部卒業。2017年東京大学法科大学院卒業。2018年弁護士登録。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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