金融庁、広く共有することが有効な相談事例の公表について
岩田合同法律事務所
弁護士 平 井 裕 人
1 はじめに
金融庁は、平成30年7月13日、照会があった各種相談事例について、広く共有することが有効と考えられる事例の公表を開始した。
従前より「法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)」に加え、「一般的な法令解釈に係る書面照会手続」の制度が存在していたが、今回、これらに加えて法令解釈・適用の参考となる情報が新たに提供されることになり、金融行政の透明性・予測可能性のさらなる向上が期待される。本稿では、かかる相談事例公表の制度(以下「本制度」という。)について簡単に紹介したい。
2 本制度導入の趣旨
金融庁からは、平成29事務年度金融行政方針[1]において、金融庁のガバナンスの改革のためには、金融機関などが金融行政に対して率直かつ不安なく批判や要望を言うことができ、金融行政に継続的かつ的確に反映されることが重要であるとの認識が示されていた。そのため、金融機関からの相談対応の一層の充実を図るともされており、本制度はこれを受けて導入された。
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