中企庁、「中小M&Aガイドライン(第3版)」を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 岡 村 優
1 中小M&Aガイドラインの概要
「中小M&Aガイドライン」は、後継者不在の中小企業を対象とする中小M&Aの当事者となる中小企業や、中小M&Aをサポートする各種支援機関の手引き・行動指針を示すことを目的として、2020年3月に中小企業庁が策定したガイドラインである。第1章(後継者不在の中小企業向けの手引き)と第2章(支援機関向けの基本事項)から構成され、下記の中小M&Aフロー図の各工程の説明や支援機関の行動方針等が記載されている。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)33頁
2024年8月に、「中小M&Aガイドライン」の第3版が公表されたので、以下では第3版における改訂のポイントを解説する。
2 第3版における改訂のポイント
⑴ 仲介者・FAの手数料・提供業務に関する事項
「中小M&Aガイドライン」は、2023年9月、中小M&Aのマッチング支援やM&Aの手続進行に関する総合的な支援を専門に行うM&A専門業者(主に仲介者・FA)の契約内容や手数料のわかりにくさ等を指摘する声を踏まえて、M&A専門業者の手数料、支援の質の確保・向上、契約締結前の重要事項の説明、直接交渉の制限に関する条項等に関してルールを明記・追加した第2版が公表された。
今般の改訂においても、仲介者・FAに対する様々な規律が追加されている。その一つが、手数料・提供業務に関する事項であり、仲介者・FAの選定における考慮要素として、下図記載の考慮要素があげられている。
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(おかむら・ゆう)
岩田合同法律事務所弁護士。2006年東京大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。2018年カリフォルニア大学バークレー校(LL.M.)修了。コンプライアンス、独占禁止法、M&A、国際取引等を中心に企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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中企庁、「中小M&Aガイドライン」を改訂
https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240830002/20240830002.html