◇SH3399◇経産省・公取委、下請取引の適正化について関係事業者団体に要請――型取引の適正化、働き方改革、災害時における取引条件、消費税の円滑・適正な転嫁等への対応を求める(2020/11/25)

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経産省・公取委、下請取引の適正化について関係事業者団体に要請

――型取引の適正化、働き方改革、災害時における取引条件、消費税の円滑・適正な転嫁等への対応を求める――

 

 

 経済産業省と公正取引委員会は11月13日、下請取引の適正化を推進するため、下請法の理解と下請代金支払や型取引の適正化、働き方改革、災害時における取引条件、消費税の円滑かつ適正な転嫁等を関係事業者団体約1,400団体に対し要請を行った(過去の要請については、後掲の別稿参照)。

 経産省等によると、「新型コロナウイルス感染症の影響により、我が国の下請事業者をはじめとする中小企業・小規模事業者は、かつて経験したことのないほど、厳しい経営環境に直面しており、これから年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念される」状況にある。

 このため、

  1. ① 親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることや、十分な協議による適切な対価、事前に定めた支払期日までに下請代金を全額支払うことなど、下請取引の適正化に努めること
  2. ② 罰則付きの時間外労働の上限規制の適用が開始されるなど、政府を挙げて働き方改革を推進しているところ、大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組が、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注等の「しわ寄せ」を生じさせないようにすること
  3. ③ 災害等の発生を理由として、下請事業者に一方的に負担を押しつけることにより、取引のある経営基盤の弱い下請事業者に悪影響を与えることのないよう、適切に対処すること
  4. ④ 令和元年10月1日から、消費税率の引上げおよび消費税の軽減税率制度が実施されたところ、減額や買いたたき等による消費税の転嫁拒否等の行為が生じないよう適切な措置を講じること

 等について、関係事業者団体約1,400団体に対し、親事業者となり得る会員に対して周知徹底を図るなど、適切な処置を講じるよう経済産業大臣および公正取引委員会委員長連名の文書をもって要請したものである。

 以下、「下請取引の適正化について」の要請文の概要を紹介する。

 

下請取引の適正化について(20201106中第7号・公取企第93号・令和2年11月13日)

 

<中小企業の取引環境>

 新型コロナウイルス感染症の影響により、我が国の下請事業者をはじめとする中小企業・小規模事業者は、かつて経験したことのないほど、厳しい経営環境に直面しました。また、これから年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念され、親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることが必要です。

 

<下請法の理解と下請代金支払や型取引の適正化>

 経済の好循環を実現するには、下請等中小事業者の取引条件を改善していくことが重要という問題意識の下、政府を挙げて下請対策の強化に取り組んでおり、平成28年12月には、違反行為の未然防止や事業者による情報提供に資するよう、下請法に関する運用基準を改正するとともに、親事業者による下請代金の支払についても以下の事項を旨とした通達を発出しました。

  1.   下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること
  2.   手形で下請代金を支払う場合は、割引料を下請事業者に負担させることがないよう下請代金の額を十分に協議すること
  3.   手形サイトは、将来的に60日以内とするよう努めること

 また、令和元年12月には、「型取引の適正化推進協議会」において、型取引の適正化に向けた基本的な考え及び基本原則を報告書として取りまとめました。

 引き続き、下請取引の適正化に取り組むよう、親事業者となる会員に対して周知徹底するよう要請いたします。

 

<働き方改革>

 令和元年4月より大企業に対して罰則付きの時間外労働の上限規制の適用が開始され、令和2年4月より中小企業に対しても同規制が適用されました。人手不足が深刻化している中、中小企業における働き方改革への対応は、重要な経営課題の一つとなっております。政府を挙げて働き方改革を推進しておりますが、取引の一方当事者の働き方改革に向けた取組の影響がその取引の相手方に対して負担となって押し付けられることは望ましくないと考えられます。

 そのため、大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組が、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請などの「しわ寄せ」を生じさせることにより、下請等中小事業者の働き方改革の妨げとならないことが重要です。

 貴団体におかれましても、下請等中小事業者に対して発注を行うに当たっては、下請法等の違反にもなり得る「しわ寄せ」を生じさせないよう、親事業者となる会員に対して周知徹底するよう要請いたします。

 

<災害時における取引条件>

 令和2年5月から7月までの間の豪雨による災害によって、九州地方をはじめとした全国の広範な地域において、交通インフラや建物・設備の損害が確認されるなど、昨今では、台風や前線を伴った低気圧などがもたらす大雨によって河川の氾濫や土砂災害が発生しており、被災地域における事業者と取引のある全国の事業者に影響が広がっております。

 貴団体におかれましても、災害等の発生を理由として、下請事業者に一方的に負担を押しつけることにより、取引のある経営基盤の弱い下請事業者に悪影響を与えることのないよう、親事業者となる会員に対して周知徹底するよう要請いたします。

 

<消費税の円滑かつ適正な転嫁>

 令和元年10月1日から、消費税率が8%から10%に引き上げられ、併せて、消費税の軽減税率制度が実施されました。貴団体におかれましては、減額や買いたたき等による消費税の転嫁拒否等の行為が生じないよう、親事業者をはじめ、会員事業者に対して周知徹底するよう要請いたします。

 

<親事業者となる会員に対する周知徹底のお願い>

 下請取引では新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されているところです。

 貴団体におかれましても、このような取引環境を御理解いただき、下請事業者と協議をした上で適切な対価の決定を行う、事前に定めた支払期日までに下請代金を全額支払うなど、親事業者となる会員が下請法の遵守に取り組むよう御協力をお願いいたします。

 特に、別紙(略)の記載事項については、親事業者となる会員に対して周知徹底を図るなど、適切な措置を講じるよう要請いたします。

 

 

 

公取委、下請取引の適正化について、関係事業者団体に要請しました(11月13日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/nov/201113.html

○下請取引の適正化について
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201113_1.pdf

○要請文書(関係事業者団体宛て)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201113_2.pdf

経産省、下請取引の適正化について、関係事業者団体に要請しました(11月13日)
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201113009/20201113009.html

 

参考

SH2908 経産省・公取委、下請取引の適正化について要請――働き方改革、台風等災害時の取引条件、消費税の円滑・適切な転嫁等への対応を要請(2019/11/28)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=10425375

SH2233 経産省と公取委、下請取引の適正化について親事業者等に要請――下請法の遵守、働き方改革、災害時の取引条件等(2018/12/05)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7722595

SH1515 経産省と公取委、下請取引の適正化等について要請を行う――下請法の遵守、消費税の転嫁の確保等を要請(2017/11/27)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=4918614

 

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