SH4110 法務省、相続土地国庫帰属制度に関する案内と相続土地国庫帰属法の施行令案の意見募集を開始 金井優憲(2022/08/24)

取引法務不動産法

法務省、相続土地国庫帰属制度に関する案内と
相続土地国庫帰属法の施行令案の意見募集を開始

岩田合同法律事務所

弁護士 金 井 優 憲

 

1 はじめに

 法務省は、令和4年8月5日、同省ウェブサイトにおいて、①相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が令和5年4月27日から施行されることについての案内ページを開設するとともに、②「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令案(仮称)」(以下「本施行令案」という。)に関する意見募集(以下「本パブリック・コメント」という。)を開始した。

 本稿では、同法に基づくいわゆる相続土地国庫帰属制度(以下「本制度」という。)の概要とともに、本施行令案の概要等について説明する。

 

2 本制度の概要

 本制度は、相続又は相続人に対する遺贈(以下「相続等」という。)により取得された土地が管理されることなく放置されることにより、将来的に所有者不明土地が発生することを予防するため、相続等により土地を取得した者が、一定の要件(詳細は後記3の本施行令案により定められる。)[1]の下、これらの土地を手放し、国庫に帰属させることを可能とする制度である。ポイントは、以下のとおりである。

  1. ① 相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができる。
  2. ② 法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせる。
  3. ③ 法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認する。
  4. ④ 土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた者が、一定の負担金を国に納付した時点で、土地の所有権が国庫に帰属する。

 また、これら手続のイメージ及びフローはそれぞれ以下のとおりである。

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(かない・まさのり)

岩田合同法律事務所所属。2015年京都大学法学部卒業。2017年京都大学法科大学院終了。2019年1月判事補任官。横浜地方裁判所勤務を経て、2022年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

 

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

 


法務省、相続土地国庫帰属制度について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

パブリックコメント
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080275&Mode=0

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