SH4273 意外に深い公益通報者保護法~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 第1回 従事者に関する運用上の留意点(1) 金山貴昭(2023/01/16)

組織法務公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 

第1回 従事者に関する運用上の留意点(1)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 金 山 貴 昭

 

Q 従事者に関する運用上の留意点

 令和2年改正で新設された公益通報対応業務従事者に関し、事業者にはどのような対応がもとめられますか。
 

A 【ポイント】

事業者は、内部規程を策定のうえ、公益通報対応業務従事者を指定するとともに、公益通報対応業務従事者に対し、公益通報者を特定させる事項の取扱いに関する十分な教育を実施することが求められます。なお、公益通報者を指定する場合には、公益通報者となる者に対し、その旨が明確になるように指定しなければいけません。

 

【解説】

 公益通報者保護法(以下、「本法」)では、公益通報対応業務に従事する者(以下、「従事者」)を定めることが義務付けられています[1]本法11条1項)。具体的にどのような者を従事者と指定しなければならないかについては、指針において定めることとされており(本法11条4項)、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号。以下、「法定指針」)が策定されています。なお、当該法定指針は、これまで消費者庁が作成していた「民間事業者向けガイドライン」とは異なり、事業者に対し法的義務を課すものであり、法定指針に違反した事業者に対しては、消費者庁は行政措置(指導、助言、勧告(本法15条)または勧告違反に対する公表(本法16条))をとることができます。

 法定指針では、従事者に関して次の事項を定めています。

  ❶ 従事者として指定すべき者の範囲
  ❷ 従事者の指定方法
  ❸ 従事者に対する十分な教育の実施
  ❹ 従事者に関する事項の内部規程の策定

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(かなやま・たかあき)

弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。

 

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