SH4419 意外に深い公益通報者保護法~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 第27回 公益通報への対応(2) 金山貴昭(2023/04/20)

公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~

第27回 公益通報への対応(2)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 金 山 貴 昭

Q 調査の要否の検討

 当社の内部公益通報受付窓口では、多くの通報を受け付けますが、受け付けた通報は全て調査しなければならないのでしょうか。

 

A 【ポイント】

 内部公益通報受付窓口で受け付けた公益通報については、「正当な理由がある場合を除いて」、必要な調査を実施することが義務付けられています。「正当な理由」については、たとえば、解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合、公益通報者と連絡がとれず事実確認が困難である場合などが考えられますが、これらの事情が存するかは慎重に判断する必要があります。

 

【解説】

 法定指針では、内部公益通報受付窓口で受け付けた公益通報について、「正当な理由がある場合を除いて」、必要な調査を実施することを定めています(法定指針第4の1(3))。令和2年改正以前は、事業者が公益通報を受け付けた場合であっても、調査する義務までは課していませんでした。しかし、公益通報に応じ、適切に対応するための必要な措置として、令和2年改正の際に、事業者に対して、内部公益通報受付窓口で受け付けた公益通報についての調査義務を課しました。

 法定指針が定めている、調査を実施しない「正当な理由」がある場合の例として、消費者庁のQA[1]では以下の場合が例示されています。

  ① 解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合

  ② 公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合

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(かなやま・たかあき)

弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。

 

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