意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~
第27回 公益通報への対応(2)
森・濱田松本法律事務所
弁護士 金 山 貴 昭
Q 調査の要否の検討
当社の内部公益通報受付窓口では、多くの通報を受け付けますが、受け付けた通報は全て調査しなければならないのでしょうか。
A 【ポイント】
内部公益通報受付窓口で受け付けた公益通報については、「正当な理由がある場合を除いて」、必要な調査を実施することが義務付けられています。「正当な理由」については、たとえば、解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合、公益通報者と連絡がとれず事実確認が困難である場合などが考えられますが、これらの事情が存するかは慎重に判断する必要があります。 |
【解説】
法定指針では、内部公益通報受付窓口で受け付けた公益通報について、「正当な理由がある場合を除いて」、必要な調査を実施することを定めています(法定指針第4の1(3))。令和2年改正以前は、事業者が公益通報を受け付けた場合であっても、調査する義務までは課していませんでした。しかし、公益通報に応じ、適切に対応するための必要な措置として、令和2年改正の際に、事業者に対して、内部公益通報受付窓口で受け付けた公益通報についての調査義務を課しました。
法定指針が定めている、調査を実施しない「正当な理由」がある場合の例として、消費者庁のQA[1]では以下の場合が例示されています。
① 解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合
② 公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合
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