SH4393 割賦販売法におけるクレジットカード番号等の保護 井上乾介/佐々木公樹(2023/04/05)

取引法務資金決済法・デジタル資産

割賦販売法におけるクレジットカード番号等の保護

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 井 上 乾 介

弁護士 佐々木 公 樹

 

1 はじめに

 キャッシュレス決済が浸透してきている現代社会において、クレジットカード決済による支払額は年々増加している[1]。ECサイト等におけるオンラインショッピングの利用の増加にも伴い、今後もその利用額は増加し続けるものと思われる。

 他方、クレジットカードは便利な反面、不正利用の被害の危険性についても従来から指摘されてきているところであり、2021年のクレジットカード不正利用被害額は約330億円にも上っている[2]。クレジットカードの安全・安心な利用環境を確保するためには、カード会社、加盟店、決済代行業者等の関係事業者によるセキュリティ対策が不可欠である。

 本稿では、クレジットカード番号等の保護対策について規定する割賦販売法についてその概要を説明した後、クレジットカード番号等の保護対策についての実務上の指針とされているクレジットカード・セキュリティガイドライン[3]について概説する。

 その上で、2023年3月15日に公表されたクレジットカード・セキュリティガイドライン【4.0版】[4][5]における改訂のポイントについて紹介する。

 

2 割賦販売法におけるクレジットカード番号等の保護

 割賦販売法[6]においては、カード会社や加盟店等のクレジットカード番号等を取り扱う一定の事業者に対して、クレジットカード番号等の適切な管理のために必要な措置[7]を講じることを義務付けることで、クレジットカード番号等の保護が図られている[8]

 番号等適切管理措置の主体となる「クレジットカード番号等取扱業者」として、現行法上、次の7つの事業者が指定されている[9]

  • 1号事業者:クレジットカード会社(イシュアー)
  • 2号事業者:クレジットカード加盟店
  • 3号事業者:立替払取次業者(アクワイアラー)
  • 4号事業者:決済代行業者等
  • 5号事業者:QRコード決済事業者等
  • 6号事業者:5号事業者の委託会社
  • 7号事業者:加盟店向け決済システム提供事業者

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(ささき・こうき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2021年早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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