◇SH2056◇実学・企業法務(第165回)法務目線の業界探訪〔Ⅳ〕建設・不動産 齋藤憲道(2018/08/30)

未分類

実学・企業法務(第165回)

法務目線の業界探訪〔Ⅳ〕建設・不動産

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

〔Ⅳ〕建設(ゼネコン、戸建て、下請)、不動産取引

3. 業法、資格

(4) 事業に係わる者に関する資格制度

 建築・土木・不動産取引に関する業務には、専門的な知識や技能を必要とするものが多い。しかも、故意・過失・事故等によって一度不具合が生じると、それを是正して原状に復するのは極めて困難であり、社会や個人生活に与える影響が大きい。

 このため、多くの専門分野で資格制度が設けられ、国家試験合格者等が責任をもって業務を行うことにより建築・土木・不動産取引の安全性・健全性を確保する仕組みが構築されている。

  1. 測量士、測量士補(測量法 1949年制定)
     技術者として基本測量、公共測量に従事する者は、国土地理院に登録された「測量士」「測量士補」でなければならない。
     「測量士」は、測量に関する計画を作製・実施する。
     「測量士補」は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する。

     
  2. 1級建築士、2級建築士、木造建築士(建築士法 1950年制定)
     国土交通大臣が免許を与える「1級建築士」、及び、都道府県知事が免許を与える「2級建築士、木造建築士」でなければ、建築士法が定める建築物の設計・工事監理[1]等を行ってはならない。
    (注1) 高い建物や多数の者が入る建築物の設計・工事監理は「1級建築士」だけに免許が与えられる。
    (注2)「木造建築士」は、木造の建築物に関する設計・工事監理等の業務を行う。

     
  3. 土地家屋調査士(土地家屋調査士法 1950年制定)
     「不動産の表示」の登記に必要な土地・家屋に関する調査・測量 、登記の申請・審査請求の手続の代理、法務局提出書類等の作成を行う。
     一定の条件を満たす土地家屋調査士は、民間紛争解決手続代理関係業務を行うことができる。
     
  4. 宅地建物取引士(宅地建物取引業法 1952年制定)
     宅地・建物の取引の専門家として、法定の重要事項の説明義務(35条)等の事務を行う。
     都道府県知事が行う資格試験に合格して登録を受け[2]、宅地建物取引士証の交付を受ける。
     
  5. 不動産鑑定士(不動産の鑑定評価に関する法律 1963年制定)
     不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査・分析を行い、又は不動産の利用・取引・投資に関する相談に応じることを業とする。
    (評価の例) 国・都道府県が行う地価公示、都道府県地価調査、相続税標準地・固定資産税標準宅地の評価、公共用地取得時の価額評価、裁判所の評価、不動産証券化時の資産評価
     
  6. マンション管理士(マンション管理適正化法  2000年制定)
     管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンションの管理に関して、管理組合の管理者やマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言・指導その他の援助を行うことを業務とする。
     国家試験に合格し、マンション管理士として登録(国土交通大臣)する。
    (注) マンション管理業者の管理業務主任者や、宅地建物取引士がマンション管理士試験(国家試験)に合格して登録する例が多い。


[1] 建築士法3条~3条の3。工事監理とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう(建築士法2条8項)。

[2] 都道府県知事は、国土交通省令に基づいて宅地建物取引士試験を行い、合格して登録申請する者を登録する。ただし、欠格者は登録しない。(宅地建物取引業法16条、18条、19条、17条の4)

 

タイトルとURLをコピーしました