ペルーの外資規制の概要
西村あさひ法律事務所
弁護士 森 本 大 介
1 外資規制の概要
ペルーは、基本的に外資に対して寛容な立場を採っており、外国投資家によるペルーに対する直接投資は原則として自由で、かつ、国内投資家との差別取扱いが憲法上禁止されている。但し、下記2.以下に記載する規制が存在する点には注意が必要である。
2 外資の出資比率に対する規制
ペルーにおいては、放送業及び民間航空業に関する外資規制が定められており、放送業に関しては、外資企業の出資比率は40%を上限とすることとされており、また、民間航空業に関しては、ペルー国籍の居住者の出資比率が過半数であることが要件とされている。
3 その他の規制
外資規制ではないが、内資あるいは外資を問わず、発電、送配電事業に参入しようとする場合、エネルギー鉱業投資監督庁(OSINERGMIN)の認可が必要であり、また、民間企業が軍需物資の製造を行おうとする場合、内資あるいは外資を問わず、政府との協約の締結が義務付けられている点には留意が必要である。
また、法人に対する出資の規制ではないが、土地所有は外国法人・非居住人にも内国人待遇が原則保障されている。国境線50km以内は原則土地所有が禁止されており、政府が公益に資するとして大統領令を発布した場合にのみ、例外的に所有が認められる。
以上を整理すると下記の表の通りとなる。
規制の種類 |
規制の内容 |
対象業種等 |
外資の出資比率に関する規制 |
外資企業による一定割合以上の出資は禁止 |
放送業:外資企業の出資比率の上限は40% 民間航空業:過半数はペルー国籍の居住者保有 |
政府の認可等が必要な事業 |
政府の認可や政府との協約の締結が必要 |
発電・送配電事業に関してはエネルギー鉱業投資監督庁の認可が必要 軍需物資の製造を行おうとする場合、政府との協約の締結が必要 |
土地所有に関する制限 |
内資・外資問わず禁止されている。 |
国境線50km以内は原則土地所有が禁止。ただし、政府が公益に資するとして大統領令を発布した場合には、例外的に所有が認められる |
以 上
(注)本稿は法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法又は現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所又はそのクライアントの見解ではありません。