伊勢志摩リゾートマネジメント、労働基準法違反
岩田合同法律事務所
弁護士 平 井 裕 人
1 はじめに
三重労働局は、平成30年10月11日、労働者4名に、有効な36協定の締結・届出なく違法な時間外労働を行わせたとして、伊勢志摩リゾートマネジメント株式会社を書類送検し事案を公表した[1]。報道[2]によれば、同4名は、いわゆる「名ばかり管理職」であったとされている。
そこで本稿では、いわゆる「名ばかり管理職」について解説するとともに、最近の裁判例の動向について簡単に紹介することにより、法令遵守とリスク回避の一助としたい。
2 「名ばかり管理職」
労働基準法上、「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という)については、労働時間・休憩・休日の規制が適用されない(労働基準法第41条2号)。つまり、時間外労働に対する割増賃金の支払も基本的には必要ない(但し、深夜業については、管理監督者であっても割増賃金を支払わなければならない。)。
そして、いわゆる「名ばかり管理職」とは、労働基準法上の管理監督者としての実態がないにもかかわらず、管理監督者として扱われる従業員のことをいう。
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