労政審、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」を答申
――パワハラ防止対策の法制化、セクハラ等防止対策の強化など――
厚生労働省の労働政策審議会(会長=樋口美雄・独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)は2月14日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」について、同審議会雇用環境・均等分科会(分科会長=奥宮京子・弁護士)が審議した結果を根本匠厚生労働大臣に対して答申を行った。
今回の改正は、①女性活躍の推進と②パワハラ等のハラスメント対策の強化を目指すもので、厚労省では、この答申を踏まえて通常国会への法案提出の準備を進めることとしている。
また、日本労働組合総連合会は同日付で事務局長名の談話を公表している。
以下では、法律案要綱のポイントと、要綱のうちハラスメント対策の強化に関する部分を抜粋して紹介する。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」のポイント
1 女性活躍の推進
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⑴ 一般事業主行動計画の策定等の義務の対象拡大
- ・ 一般事業主行動計画の策定義務の対象を、常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大する。
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⑵ 基準に適合する認定一般事業主の認定
- ・ 女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度を創設する。
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⑶ 女性の職業選択に資する情報の公表
- ・ 情報公表義務の対象を常用労働者101人以上の事業主に拡大する。
- ・ 常用労働者301人以上の事業主については、現在1項目以上の公表を求めている情報公表項目を「1 職業生活に関する機会の提供に関する実績」、「2 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」に関する項目に区分し、各区分から1項目以上公表する。
- ・ 情報公表に関する勧告に従わなかった場合に企業名公表ができることとする。
2 ハラスメント対策の強化
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⑴ 国の施策
- ・ 国の講ずべき施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること」を規定する。
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⑵ パワーハラスメント防止対策の法制化
- ・ 事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設する。あわせて、措置の適切かつ有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。
- ・ パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備する。
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⑶ セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化
- ・ セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の努めるべき事項を明確化する。
- ・ 労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止する。(パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備する。)
3 施行期日
公布日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日(ただし、1⑴⑶の対象拡大は3年、2⑴は公布日。また、2⑵の措置義務について、中小企業は公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日までは努力義務。)。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」の「ハラスメント対策」に関する部分の概要
第二 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部改正
一 国の施策
国の施策として「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること」を規定すること。
二 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主が講ずべき措置等
- 1 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないこととすること。
- 2 事業主は、労働者が1の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととすること。
- 3 厚生労働大臣は、1及び2の事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることとすること。
三 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の努めるべき事項
- 1 国は、労働者の就業環境を害する二の1の言動を行ってはならないことその他当該言動に起因する問題に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならないこととすること。
- 2 事業主は、当該問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる1の措置に協力するように努めなければならないこととすること。
- 3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、当該問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならないこととすること。
- 4 労働者は、当該問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる二の1の措置に協力するように努めなければならないこととすること。
四~八(略)
第三 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部改正
一 職場における性的な言動に起因する問題に関する相談を行ったこと等を理由とする不利益な取扱いの禁止等
- 1 事業主は、労働者が職場における性的な言動に起因する問題に関する相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととすること。
- 2 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならないこととすること。
二 職場における性的な言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の努めるべき事項
- 1 国は、職場において行われる性的な言動に対する対応により労働者に不利益を与える行為又は労働者の就業環境を害する当該言動を行ってはならないことその他当該言動に起因する問題に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならないこととすること。
- 2 事業主は、当該問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる1の措置に協力するように努めなければならないこととすること。
- 3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、当該問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならないこととすること。
- 4 労働者は、当該問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置に協力するように努めなければならないこととすること。
三 職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する相談を行ったこと等を理由とする不利益な取扱いの禁止
一の1は、労働者が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する相談を行い、又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べた場合について準用することとすること。
四 職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の努めるべき事項
職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関し、二と同様の規定を設けることとすること。
五~七(略)
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厚労省、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申について(2月14日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00002.html -
○ 諮問文
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/000478860.pdf -
○ 答申文
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/000478861.pdf -
○ 参考資料「雇用環境・均等分科会委員名簿」
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/000478862.pdf -
連合、女性活躍推進とハラスメント対策に関する「法律案要綱」答申に対する談話(事務局長談話)(2月14日)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1029