◇SH2369◇経産省、「グループ・ガバナンス・システム」で実務指針の骨子案を提示 (2019/02/28)

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経産省、「グループ・ガバナンス・システム」で実務指針の骨子案を提示

――「グループ内部統制システムの在り方」には項目自体の補充・整理も――

 

 経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会」(座長・神田秀樹学習院大学大学院教授)が2月13日に開催した(第2期)第14回会議において、仮称「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」の骨子案が提示された。

 前回会合となる第13回会議では骨子案が「項目イメージ」として明らかになっていた(SH2356 経産省、「グループ・ガバナンス・システム」で実務指針のイメージを提示 (2019/02/21)既報)。今般の「骨子案」では、すでに判明していた項目に若干の調整がみられるほか、各項目において要点を列記するものとなっており、全24頁建て。今後の審議日程に変更はなく、4月18日開催予定の会議に向けて取りまとめの審議がなされ、予備日として5月29日が確保されている状況である。

 骨子案においても、その大枠が(1)はじめに、(2)グループ設計の在り方、(3)グループ内部統制システムの在り方、(4)子会社経営陣の指名・報酬の在り方、(5)上場子会社の在り方、(6)おわりにーーの6章からなることに変更はない。概観した場合に項目そのものが相当程度調整されたのは上記(3)で、「項目イメージ」段階において全4項目が掲げられていた各節の構成は、①内部統制システムの基本的な考え方、②内部統制システムに関する取締役・監査役等の役割、③実効的な内部統制システムの構築・運営の在り方、④監査役等の在り方、⑤第2線・第3線における人材育成の在り方、⑥ITを活用した内部監査の効率化と精度向上、⑦サイバーセキュリティ対策の在り方、⑧有事対応の在り方ーーの8節となった。

 これらのうち、④〜⑦の計4節が今般の骨子案における新規の項目であるが、仔細にみると、④が新設されている一方で、⑤・⑥・⑦は従前の「③実効的な内部統制システムの構築・運営の在り方」からそれぞれ独立した1節として整理されたもの。新設の第4節「監査役等の在り方」では(ア)監査等委員・監査委員について、内部監査部門等を通じた十分な情報提供が重要であり、(イ)監査役についても、内部監査部門との積極的連携が重要であるとしている。

 上記(5)の「上場子会社の在り方」を巡っては「5.1.1 本章の適用対象」という項目が置かれ、「本章では、親子上場のケースを主な対象とする」ことの記述のほか、支配株主について「仮に、形式的には定義に該当しない場合(議決権保有割合が40%未満等)でも、実際の議決権行使率などを総合的に勘案し、実質的に子会社を支配していると考えられる場合」には、本指針の趣旨を踏まえ、適切なガバナンスの在り方を検討することが期待されるとの指摘がある。

 本章(上記(5))の第3節には「上場子会社におけるガバナンス体制の在り方」が示されており、ここでは「5.3.3 上場子会社における独立社外取締役の独立性に関する考え方」とし、(ア)少なくとも親会社の出身者は選任しないこととすることの検討、(イ)少数株主の利益保護という役割に関する意識を醸成し、選任に当たってもこのような役割を担うことができる人物であるかどうかの十分な検討がなされることとともに、(ウ)親会社が支配株主として取締役の選解任権限を行使するに当たっては上場子会社におけるガバナンスの確保の観点から適切な選任がなされるよう十分に配慮することを求めた。

 なお、前回会議では新たに策定される本実務指針の位置づけとして、コーポレートガバナンス・コードを補完するCGSガイドラインとは「並列の関係に位置づけることとしてはどうか」とする提案が行われていたところであるが、今回の会議ではその「編集構成イメージ」として、CGSガイドラインと同様に、項目ごとに「主な検討ポイント」「現状の課題や対応に関する具体的な解説(アンケート調査の結果も記載)」「実務における具体的な取組事例や参考情報」を記載することとしてはどうか、との提案がなされている。

 

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