◇SH2449◇デサント、10取締役中9名が退任する代表取締役・取締役の異動を発表 (2019/04/03)

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デサント、10取締役中9名が退任する代表取締役・取締役の異動を発表

――伊藤忠商事による公開買付けを受け、締結予定の協定書の概要も公表――

 

 デサントは3月25日、同日開催の取締役会において今年6月付の代表取締役・取締役・監査役の異動を決議したと発表した。6月開催予定の定時株主総会とその後の取締役会で正式決定される。

 伊藤忠商事が完全子会社・BSインベストメント株式会社を公開買付者として実施していたデサント普通株式に対する公開買付けにより、伊藤忠商事側として当初の予定どおり株券等所有割合の計40.00%を占めるに至ったことを受けて発表されたもの(当該公開買付けについて、SH2435「伊藤忠商事、デサント株式に対する公開買付けで株券等所有割合を40%に(2019/03/28)」既報)。大企業間では異例の敵対的TOBとして注目されたが、デサントは同日の発表において「当社の今後の経営方針やコーポレート・ガバナンス体制の構築等に関する協定書を、伊藤忠商事株式会社との間で速やかに締結する予定」とも表明しており、対立は収束した恰好となる。

 上記・協定書に関しては、その「目的」および「内容」の概要が明らかにされ、「内容」としてはⅰ)当社の経営方針・理念について、ⅱ)当社の経営体制について、ⅲ)当社の一般株主の保護について、各々箇条書きで示された。発表された取締役等の異動も「ⅱ)当社の経営体制について」における記載の基本方針と合致するものとみられ、ここで掲げられる5項目は次のとおり。①「持続的かつ中長期的な企業価値向上及び株主共同の利益のための自主独立経営が可能となる体制を確立すること」、②「上記を実現するため、当社取締役会の構成は、当社出身者2名、伊藤忠商事出身者(原則として当社への転籍者)2名及び独立社外取締役2名とすること」、③「社外取締役候補者は、当社及びその関連当事者から独立した者とし、現任の取締役・監査役のいずれかが推薦した候補者の中から、当社指名委員会にて公正に審議した上で決定すること」、④「取締役の選解任等に関する事項を決定する機関として、独立社外役員を含む公正・公平な指名委員会を設置すること」、⑤「次世代の経営幹部を育成するための後継者育成計画を策定・実行し、指名委員会にて定期的なレビューを行うこと」。

 今般発表された取締役等の異動状況をみると、これまで社外取締役2名を含む10名で構成されていた取締役はうち1名を除き、伊藤忠商事出身の取締役会長、現代表取締役社長、伊藤忠商事の執行役員を兼務する伊藤忠商事派遣の取締役、2名の社外取締役らを含めた9名が退任することになる。唯一の留任は DESCENTE KOREA LTD. 等の代表取締役社長を兼務する取締役常務執行役員で、取締役専務執行役員への昇任を伴うものとなった。

 新任取締役の構成は上記②の協定事項に沿っており、新代表取締役社長には伊藤忠商事で専務執行役員を務める繊維カンパニープレジデントが就任するとともに、伊藤忠商事執行役員・監査部長を新取締役常務執行役員・最高財務責任者(CFO)として迎える。

 デサント出身者と捉えられるのは、唯一の留任となった上記・取締役常務執行役員(韓国デサントに2000年入社)のほか、新取締役常務執行役員に就く2016年デサント入社のデサントジャパン取締役常務執行役員(4月1日付就任のデサントジャパン代表取締役社長と兼務)。

 また、社外取締役にはスカイマーク代表取締役会長としても知られるインテグラル代表取締役パートナー、そしてネスレ日本代表取締役社長兼CEOが就任する予定だ。

 なお、併せて執行役員1名の任命が発表されており、伊藤忠商事常務執行役員・食料カンパニープレジデントが新専務執行役員となる予定。

 退任予定となったデサントの代表取締役社長は今般の発表に寄せて「この度、筆頭株主との話し合いがまとまり、当社が株主の皆様の共同利益を実現するための経営・運営にかかわる協定書の締結および新たな経営体制について合意いたしました。この間、お客様ならびに関係者の皆様にはご心配をお掛けし申し訳ございませんでした」などとするコメントを公表した。

 

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