◇SH2536◇世紀東急工業で「第三者委員会の設置に係る定款変更」を求める株主提案 (2019/05/16)

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世紀東急工業で「第三者委員会の設置に係る定款変更」を求める株主提案

――資本コスト・算定根拠の開示も定款の記載を通じて要請へ――

 

 道路建設を主として土木、水利・環境、舗装資材の製造販売等を展開する世紀東急工業(本社:東京都港区、東証第一部上場)は4月26日、本年6月開催予定の定時株主総会の議題について3件の株主提案を行う旨の4月24日付書面を受領したと発表した。また同社は5月9日、本株主提案のすべてについて反対することを取締役会として決議、これを公表した。

 提案株主は「INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP」および同ファンドと投資一任契約を締結する株式会社ストラテジックキャピタル(東京都渋谷区)で、ストラテジックキャピタルが2018年5月23日に提出した変更報告書によると、同年5月16日現在の保有株券等の総数は2,806,700株、株券等保有割合にして6.94%であり、当該株券等に関する担保契約等重要な契約に係る記載として「Intertrust Trustees (Cayman) Limited との投資一任契約に基づく顧客資産運用として2,806,600株保有しております」とある。定時総会に株主提案する議題は、次の3件となっている。(1)資本コストの開示に係る定款変更の件、(2)剰余金を処分する件、(3)不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件。

 議案の具体的な内容は4月26日付・世紀東急工業プレスリリースほか、同じく4月26日付でストラテジックキャピタルが発表した資料「世紀東急工業株式会社(東証一部:コード1898)への株主提案及び同提案に関する特集サイトの開設について」においても明らかにされており、上記(1)は定款に「第7章 資本コスト」として1か条を新設、その算定根拠とともにコーポレート・ガバナンス報告書への開示を求めるものとした。

 上記(3)は、世紀東急工業が3月7日付で発表した「公正取引委員会からの意見聴取通知書の受領について」に述べられるアスファルト合材の販売価格決定に関する独占禁止法違反の疑いに係る事案を巡り、また、それ以前に処分等を受けた他の複数の独占禁止法違反事件を踏まえて提案されるものであるが、提案株主らは「今後の万一の場合に備え、独占禁止法に限らず何等かの法令違反行為等が起きたときには、速やかに第三者委員会を設置して具体的な再発防止策に繋げる」ことも視野に入れ、一定の不祥事の発生をもって取締役会の諮問委員会たる第三者委員会を設置することなどを定款の記載により会社に対して義務付けるものとなる。

 「第8章 第三者委員会」として43条(日本弁護士連合会による「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に次条(編注・44条)の定め以外は準拠した委員会を設置すること)、44条(第三者委員会の委員構成)、45条(第三者委員会の調査・審議事項)を新設するもので、これら3か条の適用について附則1か条の新設も提案した。

 会社側は「第三者委員会の設置を含めた不祥事の再発防止に向けた取り組みに関しては、定款で一律に定めるのに必ずしもなじむものではなく、取締役会において慎重に検討したうえで、機動的かつ柔軟に実行されるべきものであると考えて」いるなどとして、本株主提案に反対している。

 

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