銀行員30年、弁護士20年
第53回 仕事以外にも目標をもって、規則正しい生活をする
弁護士 浜 中 善 彦
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生活習慣を見直して、生活習慣を変えるだけではなく、仕事とは別に目標を持つことが重要である。サラリーマンの場合、出勤時間は決まっており、毎日やるべきことも前もって分かっているのであるから、各人の毎日の生活パターンはほぼ決まっている。しかし、仕事以外の時間をどう使うかで、生活の充実度は違ってくる。充実した毎日を過ごすためには、目標を持つことで、時間の有効活用の重要性を認識するとともに、規則正しい生活をすることができるようになる。
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その場合、何を目標にするかが問題となるが、興味ある分野の研究、あるいは資格取得など、いわば自己実現のための目標を設定して、勉強を生活の中に取り入れるといいと思う。私は40歳を過ぎて、働きながら弁護士資格取得を目指したが、その時は、多少時間の余裕ができたので、その時間を使って何かをしようと考えたに過ぎない。しかし、今になって考えてみると、司法試験受験を志してから、余暇時間をどう活用するかについて明確に意識するようになった。それと同時に、毎日の生活を計画的にこなすようになり、そのことが、規則正しい生活をするきっかけとなった。
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具体的には、夜型の生活習慣を朝型に変えた。毎朝5時に起きることにして、朝食までの時間は司法試験のための勉強をする。朝食は必ずとる。朝食にかぎらず、食事は、必ず、決まった時間にとることを原則にすべきである。忙しいからといって、お昼を、机に座ってカップラーメンで済ますなどではいけない。なんといっても健康第一であり、きちんとした食事を決まった時間にとることが大事である。とりわけ弁護士の場合、その点だけは十分に自覚する必要がある。就業規則がないため、つい、毎日、カップラーメンや牛丼だけで済ます人もあるが、決まった時間にきちんとした食事をする習慣をつけるべきである。
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また、毎日の生活の中に、できるだけ運動をする習慣をとりいれる。必ずしもスポーツクラブへ通う必要はない。通勤の機会に万歩計を付けてできるだけ歩く等それぞれの事情に応じて工夫をすればいい。規則的に運動することは、仕事や勉強の能率を上げる効果もある。是非、運動をする習慣を日常生活の中に取り入れるべきである。早寝、早起きの習慣も大事である。宵っ張りの朝寝坊ではいけない。朝型に生活習慣を変えることは、早寝の習慣を付けることだといってもいいくらいである。
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銀行員を定年になってみると、定年後も仕事があることは非常に恵まれていることを今更ながら実感する。それは単に経済的な意味ばかりではない。むしろ、精神的な面でそう実感する。同僚やOBから、定年後毎日が日曜日になって、しばらくはすることもなく一日中家にいて、あげく、妻に邪魔者扱いされたという話はよく聞く。そのため、定年後目標探しをして、日本古代史の勉強を始めたとか、NPO法人に参加してボランティア活動をするなど各人が工夫をしている。そういった経験からいえることは、サラリーマンの場合、定年後目標探しをするのではなく、在職中から、仕事以外に何か打ち込める目標を持つことの重要性である。弁護士資格には定年がないが、最近では、事務所によっては所員定年制を導入して、事実上サラリーマン同様の運用をする事務所も増えている。弁護士にとっても仕事以外の目標をもって、いわば複線的生活を心がけるべきことはサラリーマン同様に重要課題である。
以上