◇SH2669◇消費者庁、「百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点について」を公表――エムアイカードに対する景品表示法に基づく措置命令に併せて公表(2019/07/17)

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消費者庁、「百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点について」を公表

――エムアイカードに対する景品表示法に基づく措置命令に併せて公表――

 

 消費者庁は7月8日、三越伊勢丹グループでカードを発行するエムアイカードに対し、景品表示法に違反する行為があったとして措置命令を行い、これに併せて「百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点について」を公表した。

 これらの概要をみると、まず、消費者庁は7月8日、エムアイカードに対し、同社が供給する「エムアイカードプラスゴールド」と称するクレジットカードに係る役務の表示について、景品表示法に違反する行為(同法5条1号(優良誤認)又は同条2号(有利誤認)に該当)が認められたとして、措置命令を行った。

 消費者庁によると、優良誤認表示については、たとえば、平成31年4月1日から令和元年6月10日までの間、「三越伊勢丹グループ百貨店でのご利用で初年度8%ポイントが貯まります。」等と自社ウェブサイト上で表示するなど、「あたかも、新規に本件役務の提供に係る契約を締結し、かつ、三越伊勢丹グループの百貨店において商品の購入又は役務の提供を受ける際の代金決済に本件役務を利用した場合、入会初年度においては、当該利用額の8パーセント分のポイントが付与されるかのように示す表示」をしていたとされる。ところが実際には、たとえば、「3,000円未満の商品の購入又は役務の提供を受ける際の代金決済に本件役務を利用した場合、当該利用額の1パーセント分のポイントしか付与されない」など、利用額の8パーセント分のポイントが付与されない場合があった。

 なお、前記を表示したウェブページとは別のウェブページにおいて、いわゆる「打消し表示」を行っていたが、「当該表示は、前記の表示から離れた箇所に小さく表示されたハイパーリンクをクリックしなければ表示されない別のウェブページに表示されるものである」こと等から、一般消費者が前記の表示から受ける本件役務の内容に関する認識を打ち消すものではないとされている。

 有利誤認表示については、たとえば、平成30年4月1日から同年6月30日までの間、「期間:2018年6月30日(土)まで」及び「ご入会特典 ゴールドカードの新規ご入会で 三越伊勢丹グループ百貨店でのご利用で初年度8%ポイントが貯まります。」と表示するなど、「あたかも、同欄記載の期限までに新規に本件役務の提供に係る契約を締結した場合に限り、同欄記載の特典の適用を受ける」ことができるかのように表示していたとされる。ところが実際には、平成30年4月1日以降、継続して、当該特典の適用を受けることができるものであったとされる。

 以上から、消費者庁では、次のような措置命令を行った。

  1. ① 前記のように、本件役務の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、かつ、本件役務の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
  2. ② 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
  3. ③ 今後、同様の表示を行わないこと。

 これに対しエムアイカードは同日、「弊社に対する措置命令に関するお詫びとお知らせ」を公表している。

 そして消費者庁は今回の措置命令と併せて、「百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点について」を公表し、

  1. ・ 百貨店等提携クレジットカードに係る広告表示の実態
  2. ・ 事業者における留意点
  3. ・ 消費者における心構え

を以下のようにまとめている。

 

百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点について(7月8日)

1 百貨店等提携クレジットカードに係る広告表示について

 百貨店等提携クレジットカードに係る役務については、各種広告媒体において、提携百貨店等での利用時に高還元率のポイントが付与されることを強調している広告表示が多く見受けられる。

 しかしながら、当該高還元率のポイント付与については、一定の例外条件が存在することが一般的であり、具体的な内容は、事業者ごとに区々であるものの、例えば、以下のような例外条件が存在する場合がある。

  1. ・ 一定額未満の商品については、ポイント還元率が低い。
  2. ・ 食料品、レストラン・喫茶については、ポイント還元率が低い。
  3. ・ ボーナス1回払いとした場合には、ポイント還元率が低い。
  4. ・ セール品については、ポイントは付与されない。
  5. ・ 1回当たりの利用額が一定額未満の場合は、ポイントは付与されない。
  6. ・ 一部のブランド品、福袋等の特定の商品については、ポイントは付与されない。

2 事業者における留意点

 提携百貨店等での利用時に高還元率のポイントが付与されることを訴求する広告表示を行う場合において、ポイント付与に係る重要な例外条件があるにもかかわらず、当該例外条件の内容を明瞭に表示しないときには、一般消費者の適正な選択を歪めるおそれがある。高還元率を訴求する表示を行う際には、当該表示に近接した箇所に当該例外条件の内容を明瞭に記載するなど、消費者が確実に認識できるようにする必要がある。

3 消費者の皆様へ

 クレジットカードに係る役務について、提携百貨店等での利用時に付与されるポイントの高還元率を強調する広告表示に接した際には、例外条件の有無やその内容について、よく確認するようにしましょう。

 また、不明なことがある場合は、入会の申込み前に事業者に問い合わせるようにしましょう。

 

 

  1. 消費者庁、百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点について
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/
    pdf/fair_labeling_190708_0002.pdf
  2. ○ 消費者庁、株式会社エムアイカードに対する景品表示法に基づく措置命令について
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/
    pdf/fair_labeling_190708_0001.pdf
  3. ○ エムアイカード、弊社に対する措置命令に関するお詫びとお知らせ
    https://www2.micard.co.jp/notice/190708_2notice1.html
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