◇SH2819◇大豊工業、北米子会社の不適切会計を巡り再発防止策を発表 ――駐在員に追加教育、グループ全社員対象に内部通報制度の再認識教育など6項目 (2019/10/10)

未分類

大豊工業、北米子会社の不適切会計を巡り再発防止策を発表

――駐在員に追加教育、グループ全社員対象に内部通報制度の再認識教育など6項目――

 

 大豊工業(本社・愛知県豊田市、東証・名証第一部上場)は9月30日、北米所在の完全子会社であるタイホウ・コーポレーション・オブ・アメリカ(以下「TCA」という)における不適切な会計処理を巡り、9月26日付で公表した特別調査委員会による調査報告書での指摘・提言を受け、これらを踏まえた再発防止策を取締役会で決議したと発表した。

 大豊工業では7月30日付の発表により2020年3月期第1四半期決算の発表延期を表明するなかで、TCAにおける2015年〜2018年の期末棚卸資産の不適切な会計処理によって実態と相違がある資産計上が行われている恐れが判明したと公表。8月2日には外部の大手法律事務所の弁護士を委員長とし、同社社外監査役・社外取締役、大手監査法人系アドバイザリー会社の公認会計士を委員とする計4名の特別調査委員会の設置を取締役会で決議し、以後、9月4日には調査報告書について「関東財務局に申請・承認された四半期報告書提出の延長期限(2019年9月17日)までに受領し、その後速やかに開示」するとする「受領予定時期」に関する公表を行った。しかしながら9月17日、調査項目の新たな発生に伴って調査期間を延長すると発表。特別調査委員会による調査範囲、それまでに実施した具体的な調査とその対象を明らかにするとともに、過年度連結財務諸表におけるTCA有形固定資産に係る減損損失が約20億円にものぼることが9月13日に判明したとし、これを含む計3点を新たな事案として公表していた。

 大豊工業は9月26日、特別調査委員会から同日、調査報告書を受領したとして「調査報告書(公表版)」を発表。調査報告書によると、対象事項を同社の委託に基づき、1)本件に係る事実関係の調査、2)本件に類似する問題の存否および事実関係の調査、3)上記1)および2)で確認された事実関係の原因分析および再発防止策の提言、4)上記のほか、当委員会が必要と認めた事項――と設定した当該調査では、TCAの経理・調達担当マネージャーを務めていたA氏がTCAに赴任した2014年9月の直前期である2013年12月期〜2019年9月25日を対象期間とし、a)関連資料の精査、b)大豊工業およびTCAの役職員28名に対するヒアリング調査、大豊工業の会計監査人である監査法人の担当者に対するヒアリング、c)TCAに所属したことのある大豊工業およびTCAの役職員14名、大豊工業経理部において2019年1月以降TCAを担当していた大豊工業の役職者9名の共有サーバーに保存された電子メールデータ、電子ファイル等を対象とする電子データ調査、d)2019年8月3日・9月8日のTCAにおける棚卸および大豊工業経理担当者に対するヒアリング――が実施された。

 調査結果によると、上記A氏は決算数値を取りまとめる際、損益の実績値と収支計画に基づく計画値との間に生じた差異のうち合理的な理由を見出せなかった部分について「TCAの棚卸の結果が正しくないと決めつけ、棚卸の結果を調整して財務情報上の棚卸資産額とすること(以下「本件調整行為」という。)によって、合理的な理由の見つからない差異を解消していた」とされており、結果、実地棚卸の結果に基づく棚卸資産額と財務情報上の棚卸資産額との間に大きな乖離が生じたという。

 一方、ア)A氏の本件調整行為の目的はもっぱら計画値と実績値の説明ができない差異を回避することにあって、A氏の供述によると、前任のC氏から受けた引継ぎの結果、TCAの生産管理部門による棚卸結果から算出される在庫数量の数値は信頼性に欠ける場合があると考えていたことから、在庫数量をなるべく計画値に整合するように調整していたとされ、また、イ)A氏の任期満了に伴い2019年7月から後任となったB氏が同年3月末から4月中旬にかけてTCAに出張して業務の引継ぎを受ける際、B氏は棚卸資産額の大きな齟齬を本件調整行為とともにA氏から告げられており、その後は、ウ)TCA社長のD氏、TCAの前社長で海外事業室担当執行役員であるE氏、経理部担当の執行役員であるF氏へと伝わっていくものの、B氏、B氏から相談を受けたC氏およびD氏の3名はいずれもすみやかに大豊工業に報告したり、上長への報告や内部通報制度を通じた報告をしたりすることもなかったとされている。上記ア)の「調整」においては「当初は、カウントした在庫数量と計画上の在庫数量の誤差が小さかったものの、調整行為を重ねたことで誤差が大きくなってしまい、正直に申告できない状況に陥ってしまった」(A氏供述)という。

 本件調整行為がTCAの財務諸表に与えた影響額として、調査報告書は2015年12月期から2018年12月期までの累計で480万ドル超の金額を認定。大豊工業は9月30日、「2018年3月期以降の売上原価及び棚卸資産の金額見直し等、必要と認められる訂正を行う」とし、過年度の有価証券報告書・決算短信等の訂正についても発表した。

 大豊工業の今般の再発防止策は、調査報告書において、原因背景として指摘された「A氏の適正な経理業務に関する意識の低さ」とともに、TCA内における「経理業務に関する相互牽制の不足」「生産管理部門が不良品を網羅的に管理できていなかったこと」に加え、大豊工業における「TCAの管理に関する問題点」「大豊工業グループ内で適切な内部通報が行われなかったこと」および全5項目により提言された再発防止策を踏まえ、原因については同社内で整理分析を加え、同社としての認識を表明したうえで、全6項目の具体的な対応方法を掲げるものとなった。

 親会社としての大豊工業側の取組みをみると、①駐在員に対する教育およびフォローアップ、②TCAに対する管理の強化:営業部門内の海外事業室と経営管理部門内の経理部関連事業室が連携して棚卸資産額につき中期視点(3年)での傾向分析を毎月行う、棚卸資産に加えて売掛債権および固定資産を大豊工業から管理する体制構築も検討する、③グループ会社全社員を対象とした再認識のための教育を行うことによる内部通報制度への認識のレベルアップ――が挙げられている。

タイトルとURLをコピーしました