◇SH2847◇ISS、上場子会社のガバナンスを巡る議決権行使助言方針について意見募集――親会社、支配株主を有する会社の取締役の3分の1以上を独立社外取締役に (2019/10/25)

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ISS、上場子会社のガバナンスを巡る議決権行使助言方針について意見募集

――親会社、支配株主を有する会社の取締役の3分の1以上を独立社外取締役に――

 

 議決権行使助言会社 ISS(Institutional Shareholder Services Inc.)は10月7日、同日付の「ISS Launches 2019 ISS Benchmark Policy Comment Period」と題するリリースのなかで各国議決権行使助言方針の2020年改定に向けた方針とその意見募集について発表するとともに、日本語による「2020年版ISS議決権行使助言方針(ポリシー)改定に関するコメント募集」において改めて当該改定案を示したうえで、10月8日~18日の間、意見募集を行った。

 10月8日付の上記「改定に関するコメント募集」によると、改定案では「親会社や支配株主を有する会社において『取締役の3分の1以上かつ2名以上』を独立社外取締役とすることを求める」ことを検討している。2020年2月から施行するとしつつ、特に意見を募集する点として「親会社や支配株主を有する企業が独立社外取締役を増やすためには時間が必要だとの考えから、今回のポリシー改定案の施行までに猶予期間を設けることは妥当でしょうか。その場合、どの程度の猶予期間が必要でしょうか」と掲げ、猶予期間に関する意向を具体的に尋ねるものとなった。

 改定点を具体的にみると、親会社や支配株主を有する会社の取締役会の独立性について、(1)監査役設置会社および(2)指名委員会等設置会社に関する現行「親会社や支配株主を持つ会社において、株主総会後の取締役会に(占める)ISSの独立性基準を満たす社外取締役が最低2名いない場合」に(1)では「経営トップである取締役」につき、また(2)では「指名委員である取締役」につき原則として反対推奨している基準を、改定後は「親会社や支配株主を持つ会社において、株主総会後の取締役会に(占める)ISSの独立性基準を満たす社外取締役の割合が3分の1未満の場合もしくは最低2名いない場合」に反対推奨すると改める。

現行ポリシー ポリシー改定案
監査役設置会社 監査役設置会社
監査役設置会社においては、下記のいずれかに該当する場合、原則として反対を推奨する。

  1. > 資本生産性が低く(過去5期平均の自己資本利益率(ROE)が5%を下回り)かつ改善傾向にない場合、経営トップである取締役
  2. > 株主総会後の取締役会に最低2名の社外取締役がいない場合、経営トップである取締役
  3. > 親会社や支配株主を持つ会社において、株主総会後の取締役会に占めるISSの独立性基準を満たす社外取締役が最低2名いない場合、経営トップである取締役
     
  4. > 前会計年度における取締役会の出席率が75%未満の社外取締役
監査役設置会社においては、下記のいずれかに該当する場合、原則として反対を推奨する。

  1. > 資本生産性が低く(過去5期平均の自己資本利益率(ROE)が5%を下回り)かつ改善傾向にない場合、経営トップである取締役
  2. > 株主総会後の取締役会に最低2名の社外取締役がいない場合、経営トップである取締役
  3. > 親会社や支配株主を持つ会社において、株主総会後の取締役会に占めるISSの独立性基準を満たす社外取締役の割合3分の1未満の場合もしくは最低2名いない場合、経営トップである取締役
  4. > 前会計年度における取締役会の出席率が75%未満の社外取締役
指名委員会等設置会社 指名委員会等設置会社
指名委員会等設置会社においては、監査役設置会社向け基準に加え、さらに下記のいずれかに該当する場合、原則として反対を推奨する。

  1. > 株主総会後の取締役会の過半数が独立していない場合、ISS の独立性基準を満たさない社外取締役
  2. > 株主総会後の取締役会に占める社外取締役の割合が3分の1未満の場合、経営トップである取締役
  3. > 親会社や支配株主を持つ会社において、株主総会後の取締役会にISSの独立性基準を満たす社外取締役が最低2名いない場合、指名委員である取締役
指名委員会等設置会社においては、監査役設置会社向け基準に加え、さらに下記のいずれかに該当する場合、原則として反対を推奨する。

  1. > 株主総会後の取締役会の過半数が独立していない場合、ISS の独立性基準を満たさない社外取締役
  2. > 株主総会後の取締役会に占める社外取締役の割合が3分の1未満の場合、経営トップである取締役
  3. > 親会社や支配株主を持つ会社において、株主総会後の取締役会にISSの独立性基準を満たす社外取締役の割合3分の1未満の場合もしくは最低2名いない場合、指名委員である取締役 

 ISSでは監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社に対して2019年2月、社外取締役が取締役の3分の1以上であることを求める基準を導入した。「親会社や支配株主を有する企業において、少数株主の権利を保護するため」には「最低2名」とする現行基準では十分とはいえないとし、要件を追加する今般の改定を予定しているものである。

 ISSによると、調査対象となっている日本企業約3,000社のうち親会社や支配株主を有する企業は400社強。該当企業のうち現行基準に抵触する企業は半数未満であるのに対し、改定した場合には80%弱が基準に抵触する。また現行、調査対象の日本企業のうち約6%が基準を満たさずに反対推奨の対象となっているところ、改定した場合のこの比率は約11%まで上がることが予想されるという。

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