シーイーシー、「新たな疑義」判明で特別調査委員会を増員して追加調査
――四半期報告書の提出期限は再延長の申請承認で11月15日に――
独立系ソフトウェア会社のシーイーシー(本社事務所・東京都渋谷区、東証第一部上場)は10月17日、先に設置した特別調査委員会における調査状況を公表するとともに「新たな疑義の発生に基づく特別調査委員会の体制強化」について発表した。
同社は9月17日、「2020年1月期第2四半期報告書に係る四半期レビュー手続において、当社の会計監査人であるPwCあらた有限責任監査法人より、当社の2019年7月末時点の売掛金の一部530,698千円の実在性に疑義があるとの指摘を受け」たとし、特別調査委員会の設置を決定したと発表。同社社外監査役である公認会計士を委員長、同じく社外監査役である弁護士を副委員長、東京都内の法律事務所・弁護士、同じく都内の会計事務所・公認会計士を委員として計4名で構成するとした。また同日、上記監査法人の「指摘を受け、特別調査委員会の設置による調査および当該監査法人による追加的な監査手続きが必要」となったことを理由に、2020年1月期第2四半期報告書については提出期限の延長が必要であるとして延長申請を行い、延長後の提出期限となる10月17日までに提出する見込みを発表していた。
同社の10月17日発表は、このような経緯を踏まえつつ(1)調査はおおむね順調に進捗しているものの、その調査過程で当初疑義に関係していた部署とは異なる部署において売上の前倒し計上という別の新たな不正が行われていた疑義が発生したこと、(2)同社として、新たな疑義に対応する追加調査を委嘱して調査範囲を拡大するとともに、追加調査につき深度ある調査を行うべく特別調査委員会の委員を増員して調査体制を強化することを明らかにするもので、特別調査委員会における当日までの調査状況を発表するほか、上記「新たな疑義」を説明。加えて、東京都内にメインとなる拠点を構える弁護士法人の弁護士1名を特別調査委員会委員として増員し、体制強化を図ったとした。なお、2020年1月期第2四半期報告書については提出期限の再延長を申請、延長後の期限を11月15日と別途発表している。
今般の同社発表によると、上記「当初疑義」の類似案件の調査が行われており、暫定的な発表ながら「取引内容に対する認識が薄く、正規の営業取引と評価し得ない取引は、2017年1月期から2020年1月期第2四半期にかけて57件検出」したという。また「当初疑義」に対応する件外調査の結果として「既に本件調査および類似案件調査で把握されたもの以外に、取引の実在性に疑義がある取引は発見されておりません」と述べた。
当初の調査がその件外調査も含めておおむね順調に進捗していた一方で、しかしながら10月上旬、電子メールのデジタル・フォレンジック調査により「当初疑義」に関係していた部署とは異なる部署において売上を前倒し計上している可能性を示唆するメールを発見。当該「新たな疑義」に関し、ある1社に対して2014年7月から開始されていた継続的な商品販売取引案件の全60件について各種調査を実施しているという。これに伴い「それ以外にも当社において他に売上の前倒し計上が行われていないか、件外調査を実施して確認する必要」も生じているとした。
体制強化後の特別調査委員会では、①「新たな疑義」に係る関係証憑・資料の収集および検討、②社内外の関係者に対する追加的ヒアリングに加え、③デジタル・フォレンジックについて、売上の前倒し計上という新たな不正手口を前提とするキーワードを設定し直し、その範囲を拡大して実施する。不正の原因分析についても、売上の前倒し計上に係る内部統制システムの問題点の検討に拡大し、「そこで判明する事実関係や原因に応じて、件外調査の具体的な手続きを決定して実施する」と、今後の方針を説明している。