◇SH1231◇公取委、「データと競争政策に関する検討会」報告書を公表 (2017/06/13)

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公取委、「データと競争政策に関する検討会」報告書を公表

--データの集積を伴う企業結合審査への対応等の考え方を示す--

 

 公正取引委員会は6月6日、「データと競争政策に関する検討会」(座長=後藤晃・東京大学名誉教授)が取りまとめた報告書を公表した。

 近年、IoT(Internet of Things)の普及や人工知能関連技術の高度化を背景として、「ビッグデータ」の解析で得られる知見が、既存の業界の垣根を越えた新たな革新を生むことが期待されており、データを事業活動に生かすことの重要性が高まる中で、データの利活用を促すことに資するような競争政策上の課題について検討を行うことが必要となっている。このような状況を踏まえ、公取委では、競争政策研究センター内に「データと競争政策に関する検討会」を設置し、データの収集および利活用に関連する競争政策ならびに独禁法上の論点を整理するため、検討を行ってきたものである。

 報告書では、データの集積によって、独占や寡占(競争の制限)をもたらし得る企業結合や、市場における地位を利用した消費者・中小企業からのデータの不当な収集(搾取)、あるいは不当な「囲い込み」に対しては独禁法による対応が必要であると指摘。そうした「競争上の懸念の多くは、従来の独占禁止法の枠組みにより対処できることが確認された」としている。

 報告書の概要を紹介する。

 

○ 基本的な考え方

 報告書によると、データの収集・利活用は、「それ自体としては、競争促進的な行為であり、競争政策上は望ましい行為であって、独占禁止法上も問題となることはない」とする。しかし、「競争者を排除しようとする行為といった不当な行為や合併をはじめとする企業結合によって、データが特定の事業者に集積される一方で、それ以外の事業者にとっては入手が困難となる結果として、当該データが効率化等の上で重要な地位を占める商品の市場における競争が制限されることとなったり、あるいは、競争の観点から不当な手段を用いてデータが利活用される結果、例えば、商品の市場などデータに関連する市場において競争が制限されることとなったりする場合には、独占禁止法による規制によって、競争を維持し、回復させる必要が生じることになる」とする。

 また、「独占禁止法上は直ちには問題とならない場合であっても、競争上望ましいと考えられる政策的措置はあり得る」として、個人データのポータビリティの促進や、産業データのオーナーシップに関する議論、国・地方公共団体が保有するデータの利活用推進に向けた議論の深化が望ましいとしている。

 

○ データの集積を伴う企業結合審査への対応

 大量のデータの集積を伴う企業結合については、次の観点からの審査も必要であるとする。

  1. ・ 結果として、データと関連するAI技術や商品における競争が低下しないか
  2. ・(商品段階の競争関係を問わず)同様のデータの売買が行われている場合、当該「データ市場」における競争減殺効果(当該データ価格の高止まり等)が生じないか

 

○ データの自由な収集・利用の妨害

 データの自由な収集・利用の妨害に関しては、独禁法上問題となりうる場合を以下のように指摘している、

 まず、「不当なデータ収集」については、次のように掲げている。

  1. ・ 優越的地位にある事業者などが、業務提携等に伴い取引先企業から一方的にデータ提供を求めること
  2. ・ デジタル・プラットフォーム(そのサービスに顧客がロックインされている場合)が、わが国法令等に照らし不当な行為により個人データを収集すること

 次に「独占・寡占事業者等によるデータの不当な囲い込み」については、当該データが競争者の事業に不可欠であって、たとえば、

  1. ・ 従来、競争事業者に当該データを開示してきており、競争者の排除以外に合理的な理由が認められない場合
  2. ・ 顧客等に対し当該データへのアクセスを認める義務がある場合に、顧客等に対するアクセスの拒絶が競争者を締め出し、排除することとなる場合

に、競争者や顧客によるアクセスを正当な理由なく認めないことを掲げている。

 さらに、データの提供と解析の抱き合わせや、データや解析技術を提供する条件として競争者との取引を行わないことを求める行為等も、独禁法上問題となりうる行為として指摘している。

 

○ データの共同収集・利用

 データの共同収集・利用に関しては、標準化による効率化や安全性の向上等、原則として競争を促進するものとしているが、競争者の価格・数量を推測させるような共同収集が競争者間による協調的行為の促進を生じさせる場合等には、独禁法上問題となりうるとしている。

 

○「データと競争政策に関する検討会」報告書の構成

第1章 検討の背景

第2章 データを巡る環境変化、利活用の現状
 1  伝統的なデータの収集・利活用形態
 2  データの基本的な特徴
 3  近年の環境変化
 4  パーソナル・データのインターネット上のサービスへの利用
 5  機器等のデータの利活用(産業データ)
 6  小括

第3章 競争政策上又は独占禁止法上の検討に当たっての基本的な考え方
 1  検討の視点
 2  データの集積・利活用が競争に及ぼす影響についての基本的な評価
 3  関連市場についての考え方
  ⑴  市場画定に係る基本的な考え方
  ⑵  データの収集、利活用に関連する取引に係る市場画定についての考え方
 4  競争減殺効果の分析方法

第4章 データの収集、利活用に関する行為
 1  データの収集に関する行為
  ⑴  単独の事業者による収集
  ⑵  複数の事業者による共同収集
 2  収集されたデータへのアクセスに関する行為
  ⑴  単独の事業者によるアクセス拒絶
  ⑵  共同行為によるアクセス拒絶等
  ⑶  データへのアクセスに関連するその他の不当な行為

第5章 企業結合審査におけるデータに関連する考慮事項等
 1  企業結合によるデータの集積等の動向
 2  企業結合における事前届出基準

結語

 

  1. ○ 公取委、「データと競争政策に関する検討会」報告書について(6月6日)
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170606_1.html
  2. 報告書本体
    http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.files/170606data01.pdf
  3. 「データと競争政策に関する検討会」報告書について(公表文)
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170606_1.files/170606_01.pdf
  4. 「データと競争政策に関する検討会」報告書について(概要)
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170606_1.files/170606_02.pdf
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