経営法友会、「不祥事予防に向けた取組事例集」を公表
――日本取引所自主規制法人「プリンシプル」に対応、具体的かつ多様な取組みが明らかに――
会員企業の法務担当者で組織される経営法友会(代表幹事・小幡忍日本電気執行役員兼チーフリーガル&コンプライアンスオフィサー、事務局・公益社団法人商事法務研究会)は11月7日、「不祥事予防に向けた取組事例集」を公表した。
日本取引所自主規制法人が2018年3月30日に公表した「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」を題材とし、経営法友会内の有志により構成した「不祥事予防のプリンシプルに関する意見交換会」が計5回の審議を通じて取りまとめたもので、オブザーバーとして日本取引所自主規制法人も加わった。同法人の「プリンシプル」は6つの「原則」と「各原則の解説」「不祥事につながった問題事例」からなり、各原則は「各上場会社において自社の実態に即して創意工夫を凝らし、より効果的な取組みを進めていただくための……指針」と位置付けられている。今般の「取組事例集」では各原則等を掲げながら、実務担当者がプリンシプルを具体的なアクションとして活かせるよう、意見交換会メンバーの所属各社において「よりよいものを目指して試行錯誤しながら進めている取組事例」を紹介することとしている。
取組事例集はプリンシプルの「前文」と各「原則」に沿って、原則については「各原則の解説」に対応する解説項目ごとに「各社の取組事例・意見等」を掲げていく全47頁建て。たとえば、プリンシプルにおける原則1「実を伴った実態把握」に関し、コンプライアンスが明文の法令・ルールの遵守だけに限定されるものではないとする解説項目「解説1−2」を巡っては、まずサマリーとして「コンプライアンス」の捉え方などを総括して紹介する。
続いて意見交換会メンバーのコメントを取りまとめる過程では、①コンプライアンスの範囲はどこまでか、②法務とコンプライアンス、③社員個人の不祥事への向き合い方、④行動規範の点検と改定のサイクル、⑤行動規範の適用対象と誓約、⑥自社の常識を疑う、⑦品質偽装の問題――といったかたちで「プリンシプル」を自社の具体的な捉え方・取組みに引き寄せた7つのテーマを設定、テーマごとにメンバー各社が率直に紹介する実例を挙げた。
これらのうち4点目の「行動規範の点検と改定のサイクル」をみると、点検のサイクルとしては「3年に1回」「定期点検の時期は定めず、必要に応じて見直す」「毎年、4月に改定」「(会社法の内部統制の年1回のレビュー・決議に先立ち)内部統制委員会を開催し、そこで会社のすべての活動をレビューし、新しい分野が出てきたら、都度、行動規範も見直す」「毎年、見直す」といった各社の例を紹介。策定以降の改定回数・頻度に言及するコメントや、たとえば「実態としては、個人情報保護など、規制対応のための微調整がほとんど」と改定の内容・程度について明らかにするものも掲げられている。
コメントとして提示される各社の取組みはすべて「プリンシプル」に則って整理されており、収載事例は多様であるとともに相当数に上る。自社の実情に応じて適宜参考のうえ、活用されたい。