経産省、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」の
初会合を開催
――企業・投資家間の対話の質を底上げ、来春を目途に取りまとめ――
経済産業省は11月22日、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」(座長・伊藤邦雄一橋大学大学院特任教授)を設置し、初会合を11月26日に開くと発表した。
経済産業省ではコーポレート・ガバナンス改革の推進を継続的な取組課題としているが(同省の成果として、SH1876 「経産省、『統合報告・ESG対話フォーラム』の『報告資料』を公表(2018/05/31)」等参照)、企業と投資家のより実質的な対話を実現し、企業の持続的な価値創造につなげていくべきとの指摘はなお存在するとしており、また、対話を巡る様々な環境変化として、a)投資家との対話の意義や目的、真に建設的な対話とはどのようなものか、その具体的方策などの理解と行動には実現できている企業とそうでない企業との分化が生じていること、b)企業の内部留保のさらなる拡大、金利の低下によるデッド・ファイナンスの容易化など金融環境の変化によって株式市場の意義が変質しつつあること、c)パッシブ投資の拡大を始め、コストを極小化していく投資家側の傾向が顕著となりつつあり、こうしたなかで評価機関がより重要な機能を果たすようになっていること――といった状況を指摘。今般の検討会では、企業や投資家がこのような環境変化に直面する現時点において「伊藤レポート」「伊藤レポート2.0」「価値協創ガイダンス」といった取組みや議論の成果を踏まえたうえで、対話を通じて価値を協創していくにあたっての課題や対応策を検討し、企業の持続的な価値向上をさらに後押ししていくとしている。
検討会の委員には学識経験者たる座長を筆頭に企業経営者・投資家の立場から16名、計17名が就任した。金融庁や東京証券取引所がオブザーバーとして参加する。事務局は経済産業省経済産業政策局産業資金課。今後は月1回程度会合を開き、来春の議論取りまとめを予定している。
開催に際して公表された「本検討会で議論・検討を予定している事項・論点例」によると、1)対話の現状を踏まえた対話の質の底上げ、2)投資家・資本市場を取り巻く環境の変化を踏まえた、今後の企業と投資家の関係性、3)個別分野等での検討の報告・議論の3項目に大別された具体的論点の例は、次のとおりとなっている。①対話に関する現状認識、課題の共有、②目的に応じた対話についてのグッドプラクティスの共有、③企業・投資家同士、企業と投資家の継続的対話のための「場」のあり方、④資本市場を巡るコスト極小化の動きと各プレーヤーの役割・あり方、⑤ESG投資を通じた企業の価値創造の可能性、⑥企業経営とSDGs、⑦無形資産(イノベーション・研究開発/デジタル・トランスフォーメーション/人材)に対する投資のさらなる促進。