SH2922 監査役協会、報告書「監査等委員会監査の実態と今後の在り方について――重要な業務執行の決定の取締役への委任が監査に与える影響と組織監査に関する考察を中心に――」を公表 深津春乃(2019/12/06)

組織法務監査・会計・税務

監査役協会、報告書「監査等委員会監査の実態と今後の在り方について――重要な業務執行の決定の取締役への委任が監査に与える
影響と組織監査に関する考察を中心に――」を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 深 津 春 乃

 

1 はじめに

 監査役協会において設置された、監査等委員会実務研究会(以下「本研究会」という。)は、令和元年11月26日、監査等委員会監査の実態に関する研究結果をとりまとめた報告書(以下「本報告書」という。)を公表した。

 本報告書は、監査等委員会制度の導入から4年が経過したことを受けて、監査等委員会の実務の参考となる好事例を見出すべく、監査等委員を対象としたアンケートを通じて監査等委員会設置会社の実務実態を検証し、整理したものである。

 上記の検証及び整理は、①「重要な業務執行の決定の取締役への委任が監査等委員会の監査に与える影響について」と、②「モニタリング・モデルを志向している監査等委員会による実務実態の把握と、モニタリング・モデルを機能させるための要件について」の二つの側面に注目して行われた。以下では、それぞれの側面について、本研究会の問題意識及び検討結果の概要を説明する。

 

2 重要な業務執行の決定の取締役への委任が監査等委員会の監査に与える影響について

⑴ 問題意識

 監査等委員会設置会社においては、取締役会は、原則として重要な業務執行の決定を取締役に委任することができないが(会社法399条の13第4項)、①取締役の過半数が社外取締役である場合、又は、②定款においてその旨を定めた場合には、取締役会の決議によって、重要な業務執行の全部又は一部を取締役に委任することができる(同条5項・6項)。

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