◇SH2936◇消費者庁、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会の初会合を開催――デジタル市場における消費者利益の確保の観点から検討(2019/12/17)

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消費者庁、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における
環境整備等に関する検討会の初会合を開催

――デジタル市場における消費者利益の確保の観点から検討――

 

 

 消費者庁は12月5日、「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」(座長=依田高典・京都大学大学院経済学研究科教授)の初会合を開催した。

 デジタル・プラットフォーマーをめぐっては、総務省・経済産業省・公正取引委員会等の関係省庁において規制のあり方等の議論が進められているところである(後掲の別稿参照)。

 本検討会の「開催趣旨」によると、グローバルで変化が激しいデジタル市場において、従前の消費者取引では想定していなかった取引を仲介する事業者の存在感が増大しており、特にデジタル・プラットフォーム企業が取引の場を提供することで、消費者の利便性の向上、ニーズの掘り起こし等により、CtoC取引も含めた消費者取引の市場が拡大している。他方、取引に不慣れな個人が売主になった場合のトラブルが増加するものの未解決のまま放置されたり、BtoCやCtoCを問わずデジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引での新たなトラブルが指摘されているところである。

 そこで消費者庁では、デジタル市場における消費者利益の確保の観点から、デジタル・プラットフォーム企業の役割を踏まえて、消費者被害の実態を把握し、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等について、産業界の自主的な取組や共同規制等も含め、政策面・制度面の観点から検討するため、本検討会を開催し、令和2年夏頃を目途に結論を得ることとしたものである。本検討会の主な検討事項としては、①取引の場の提供者としての役割、②デジタル・プラットフォーム企業から消費者に対する情報提供のあり方、等とされている。

 以下、初会合の配布資料から、「本検討会で議論を進めていくうえでの視点」を紹介する。

 

  1. 1 デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者トラブルとして、どういうものを想定するか。資料4-1(省略)で紹介したものの他、どのようなものがあるか。
     
  2. 2-1 消費者取引(消費者が一方当事者となっている取引をいうものとする。)を介在するデジタル・プラットフォームの特徴として、どの点に着目するか。

    1. ・ 非対面の取引の仲介から決済に至る取引の「場」の提供と、提供された「場」における定型的かつ膨大な選択肢(商品・取引の相手方)の提供
    2. ・ 契約の内容に適合しない商品や安全性に問題のある商品の提供など、従来から見られる問題における被害回復や紛争解決の困難性
    3. ・ 第三者から得た情報を含めた消費行動・属性等に関する情報の膨大な蓄積、蓄積された情報を踏まえた取引の即時のマッチング機能の提供、個人ごとに調整された取引
    4. ・ 規約による取引の内容及び条件の決定、変更
       
  3. 2-2 これまでの消費者取引との比較において、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引の問題の本質をどう捉えるか。

    1. ・ CtoC取引や越境取引など、多様化した取引の大量の発生
    2. ・ 取引の目的(商品・サービス)ではなく、取引の主体である買主の消費者に関する情報の「格差」の拡大、非対面でも容易となった積極的な働きかけと消費者の限定合理性の拡大
    3. ・ 消費社会のインフラとしての役割への期待
       
  4. 3-1 「取引の場の提供者」としての役割をどう考えるか。
     
  5. 3-2 誰がどこまで消費者トラブルの責任を負うべきか。
     
  6. 3-3 現行法では、原則、当事者間での解決に委ねられているCtoC取引の環境整備について、どう考えるか(BtoC取引とCtoC取引に違いはあるか)。

 

 

 

  1. 消費者庁、第1回デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会(12月5日開催)
    https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/review_meeting_001.html
  2. ○議事次第
    https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/pdf/
    consumer_system_cms101_191206_01.pdf
  3. ○資料1 検討会について
    https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/pdf/
    consumer_system_cms101_191206_02.pdf
  4. ○資料2 委員等名簿
    https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/pdf/
    consumer_system_cms101_191206_03.pdf
  5. ○資料4-1 現状と今後の課題(事務局資料)
    https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/pdf/
    consumer_system_cms101_191206_05.pdf
  6. ○資料4-2 本検討会でご議論を進めていくうえでの視点(事務局資料)
    https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/pdf/
    consumer_system_cms101_191206_06.pdf
  7.  
  8. 参考
  9. SH2272 経産省、公取委、総務省、「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」を策定 柏木健佑(2019/01/08)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7943756
  10. SH2571 経産省・公取委・総務省、デジタル・プラットフォーマーに関するルール整備のオプションを公表 唐澤 新(2019/05/30)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=9047887
  11. SH2775 公取委、「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」に対する意見募集を開始 大櫛健一/足立理(2019/09/12)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=9869482
  12. SH2825 第1回「デジタル市場競争会議」が開かれる――多岐にわたり「年内取りまとめ」を合意、専門的検討のワーキンググループも開催 (2019/10/15)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=10098348
  13. SH2887 公取委、デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査(オンラインモール・アプリストアにおける事業者間取引) 瀬戸山真(2019/11/14)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=10316084
  14. SH2900 日本経済再生本部(未来投資会議)、デジタル市場競争本部(デジタル市場競争会議ワーキンググループ)、デジタル市場のルール整備等について議論 大櫛健一(2019/11/22)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=10378405
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