消費者庁、民法(債権関係)改正に伴う製造物責任法の一部改正について公表
――消滅時効に関する改正の内容と経過措置をまとめる――
消費者庁は1月31日、「民法(債権関係)改正に伴う製造物責任(PL)法の一部改正」について公表した。
民法(債権関係)改正(平成29年法律第44号)に伴い、「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号。以下、「民法改正整備法」)が平成29年5月26日に成立している(同年6月2日公布)。
民法改正整備法は、PL法の一部改正を含んでいる。その内容は、民法(債権関係)改正における不法行為債権の消滅時効の改正と同趣旨であり、①PL法に基づく損害賠償請求権の長期の期間制限が時効期間であることを明記し、②人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権について、主観的起算点からの時効期間を長期化する特則を新設するものである。
民法改正整備法のうち、PL法を改正する部分が4月1日から施行されることから、消費者庁では、今回の改正内容と経過措置をまとめて公表したものである。
その概要は、次のとおりである。
- 《改正の内容①》生命または身体の侵害によるPL法に基づく損害賠償請求権の時効期間(改正PL法5条2項)
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・人の生命または身体の侵害によるPL法に基づく損害賠償請求権の時効期間について長期化する特則を新設する(→3年から5年に長期化)。
- 《改正の内容②》PL法に基づく損害賠償請求権に関する長期10年の権利消滅期間の意味(改正PL法5条1項2号)
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・PL法に基づく損害賠償請求権に関する長期10年の権利消滅期間が「時効期間」であることを明記する(→改正前は除斥期間と解されていた)。
- 《経過措置①》生命または身体を侵害した場合のPL法に基づく損害賠償請求権の消滅時効に関する規定(改正PL法5条2項)
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・生命または身体を侵害した場合のPL法に基づく損害賠償請求権の消滅時効の期間については、施行日の時点で改正前のPL法による損害賠償請求権の消滅時効が完成していない場合には、改正後の新しいPL法が適用される。
- 《経過措置②》長期の権利消滅期間に関する規定(改正PL法5条1項2号)
- ・施行日前にPL法に基づく損害賠償請求権が生じた場合であっても、施行日において長期の権利消滅期間(10年)が経過していないときは、改正後のPL法5条1項2号が適用され、時効期間とされる。