◇SH3924◇中企庁・公取委、約5,000の親事業者に対して手形等のサイトの可及的速やかな60日以内への短縮を要請――「令和6年を目途に60日以内」要請の通達を踏まえ、60日超は指導の対象とすることを前提に下請法運用見直しの検討へ (2022/03/02)

未分類

中企庁・公取委、約5,000の親事業者に対して手形等のサイトの
可及的速やかな60日以内への短縮を要請

――「令和6年を目途に60日以内」要請の通達を踏まえ、60日超は指導の対象とすることを
前提に下請法運用見直しの検討へ――

 

 中小企業庁と公正取引委員会は2月16日、約5,000の親事業者に対する要請「手形等のサイトの短縮について」を発出するとともに、その趣旨として「可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内に短縮すること」を求める要請を連名で行ったと発表した。

 下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という)は下請代金について、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は下請事業者が役務を提供した日)から60日の期間内で、かつ、できる限り短い期間内に支払うべきものとされている(2条の2第1項)。現金による支払いを原則としつつ、手形による支払いも下請代金の支払期日までに割引による現金化が可能なものである場合には現金による支払いと同様の効果があるとみなされている。

 政府はかねて手形サイトの短縮を呼びかけてきており、平成28年12月14日には従前の通達「下請代金の支払手形のサイト短縮について」(昭和41年3月11日41公取下第169号・41企庁第339号および昭和41年3月31日41公取下第233号・41企庁第467号)を廃止し、次の3点を明記する通達「下請代金の支払手段について」(平成28年12月14日20161207中第1号・公取企第140号)を関係事業者団体代表者宛に発出した。「1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。2 手形等により下請代金を支払う場合には、その現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、繊維業90日以内、その他の業種120日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、将来的には60日以内とするよう努めること。」

 しかしながら「なお多くの企業により手形等(手形、一括決済方式又は電子記録債権をいう。以下同じ。)による下請代金の支払が行われており、そのサイト(手形以外による支払にあっては、手形の交付日から手形の満期までの期間に相当するものをいう。以下同じ。)の短縮に改善の傾向がみられるものの、十分には短縮されていないのが現状である」などとして、令和3年3月31日には中企庁・公取委がこれを見直して新たに整理。ここで示された「下請代金の支払手段について」(令和3年3月31日20210322中庁第2号・公取企第25号)は、下掲の4項目を掲げつつ「可能な限り速やかに下請代金の支払の更なる適正化に努めるよう要請する」こと、「今後も、下請法に基づく調査、検査等において、支払方法の選択、サイトの短縮状況等について確認をするなど必要な措置を講じる」ことを言明するものであった。発出された関係事業者団体は約1,400という。

「1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。2 手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。 当該協議を行う際、親事業者と下請事業者の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に検討できるように、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストを示すこと。3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。4 前記1から3までの要請内容については、新型コロナウイルス感染症による現下の経済状況を踏まえつつ、おおむね3年以内を目途として、可能な限り速やかに実施すること。」

 約5,000の親事業者になされた今般の要請は、下請法の規定に基づいて例年実施している「下請事業者との取引に関する調査」(編注・令和3年度は7月26日に告知、通知はがきを順次発送)の回答において、下請代金の支払いにつき「手形等のサイトが60日を超える手形等により支払っている」とした親事業者代表者宛に「手形等のサイトの短縮について」(令和4年2月16日20211206中庁第1号・公取企第131号)と題し、「中小企業庁事業環境部取引課長・統括下請代金検査官」名および「公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課長・下請取引調査室長」名の連名により発出された。手形等のサイトの短縮化のさらなる促進を図るため、とされる。

 本要請のなかで中企庁・公取委は、(1)上記・令和3年3月31日付「下請代金の支払手段について」により、おおむね3年以内・令和6年を目途として60日以内とするよう要請していること、(2)この要請に伴って、おおむね3年以内・令和6年を目途に60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提に同法の運用の見直しを検討することを説明。もって「貴社におかれましては、可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内としていただくようお願いいたします」と結んでいる。

タイトルとURLをコピーしました