経済産業省、株式会社資生堂の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2019」経済産業大臣賞の受賞を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 伊 藤 広 樹
経済産業省は、2020年1月30日、株式会社資生堂(以下「資生堂」という。)が「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2019」経済産業大臣賞を受賞したことを公表した。
「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」とは、一般社団法人日本取締役協会が主催する、コーポレートガバナンスを用いて中長期的に健全な成長を遂げている企業を応援する企業表彰であるが、その中には、ガバナンスの根幹である社長・CEOの指名・後継者計画(サクセッションプラン)について、独立した指名委員会を中心とした実効的な監督を行い、成果を上げていると認められる企業を表彰する経済産業大臣賞が設けられている。
上記のとおり、「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2019」の経済産業大臣賞は、資生堂が受賞したとされているが、本稿では、その選定理由を概観するとともに、そのポイントを解説する。
【選定理由①】 業務執行体制からの独立性を重視して、社外役員のみで社長の評価を行う部会を設置し、同部会が役員指名諮問委員会とともに社長の指名・後継者計画に関わっている。さらに、その旨をコーポレートガバナンス報告書、統合報告書等において開示しているなど、社長の指名・後継者計画に関するガバナンスの体制が適切に構築され、プロセスの透明性及び客観性が高い。 |
近時、任意の指名委員会を導入する会社は徐々に増えているが、その委員が社外役員のみで構成されている例は少ない。実際に、資生堂の役員指名諮問委員会も、社内役員1名、社外役員3名で構成されているが、同社では、社長の評価を行う「評価部会」を社外役員のみで構成することにより、社長の評価に関する客観性をより担保することを意図していると考えられる。一般論として、経営トップである社長について、社長自らを含む社内役員が適正に評価できるかは疑義があると言わざるを得ず、その意味で、同社の取組みは、社長の評価に関する適正性をより担保するものであると言える。
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