◇SH0014◇マンション建替え円滑化法の改正 柏木健佑(2014/07/01)

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マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律の公布

岩田合同法律事務所

弁護士 柏 木 健 佑

 

 マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下「マンション建替え円滑化法」という。)の一部を改正する法律案が、平成26年6月18日、参院本会議で可決し、成立した(以下「改正法」という。)。施行期日は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日とされている。

 旧耐震基準により建設されたマンションの老朽化の進行とともに、その多くが耐震性不足と考えられるこれらマンションの建替えの促進が重要な政策課題となっており、従前から、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)の改正やマンション建替え円滑化法の制定及び改正を通じてマンションの建替えが促進されてきた。これらの立法により、区分所有者の多数決による建替え決議(区分所有法62条。区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成により決議)によって建替えを決定し、マンション建替え円滑化法に基づき建替事業を施行、権利変換を行うというスキームが整備された。しかしながら、区分所有法及びマンション建替え円滑化法で予定されていた建替え制度は、区分所有者が建替え後のマンションに関する区分所有権を取得することを原則とする制度であり、デベロッパーなどの第三者がマンションとその敷地を取得して建替えを行うためには、区分所有者全員の賛成が必要であったため、期待通り利用が進んでいたとは言い難い。

 

 改正法は、区分所有者の多数決でマンションとその敷地を一括して第三者に売却し、その代金を分配するマンション敷地売却事業制度を導入する。マンション敷地売却事業の対象となるのは、マンション管理者等の申請に基づき特定行政庁により耐震性不足が認定されたマンションであり、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の各5分の4以上の多数で、デベロッパーなど買受人が作成し認定を受けた買受計画に基づくマンション敷地売却の決議がなされる。その後、マンション敷地売却組合がマンション敷地売却事業を遂行し、買受人にマンションと敷地を売却、区分所有者は分配金を取得することになる。なお、マンション敷地売却事業により区分所有建物及び敷地を買い受けた買受人が新たに敷地上に建設するマンションが一定の要件を満たす場合には、容積率の特例が認められる。区分所有権を目的とする担保権者や借家権者の保護も規定し、これらの権利処理の煩雑さも軽減している。

 当該制度の創設により、今後、デベロッパーが区分所有建物及びその敷地を取得し、再開発するといったスキームにより、耐震性不足の老朽化マンションの建替えが促進されることが期待される。

以上

 

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