◇SH0259◇消費者庁、タカショーに対し景表法に基づき措置命令 鬼丸のぞみ(2015/03/19)

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消費者庁、タカショーに対し景表法に基づき措置命令

岩田合同法律事務所

弁護士 鬼 丸 のぞみ

 消費者庁は、平成27年3月5日、和歌山県に本社をおく株式会社タカショー(以下「タカショー」という。)が供給する「シェードネット」と称する庭先などで使う布製の日よけ用品(以下「対象商品」という。)に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法4条1項1号(優良誤認))が認められるとして、タカショーに対し措置命令を行い、同日これを公表した。

(公表内容)

 消費者庁のウェブサイトによれば、タカショーは、平成24年2月1日から、チラシ、カタログ及びウェブサイトで、たとえば以下のように記載することで、あたかも対象商品を使用することで対象商品の内側の空間部分の気温が約10度低下する効果が得られるかのように表示をし、さらに以下の画像も掲載したが、実際には、対象商品を使用した内側の空間部分の気温が約10℃低下するとは認められないものであった。

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 そこで、消費者庁は、タカショーに対し、これらの表示について、実際には、対象商品を使用した内側の空間部分の気温が約10℃低下するとは認められないものであり、①一般消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者へ周知徹底し、②再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること、③今後、同様の表示を行わないことという内容の命令をした。

(優良誤認とは)

 優良誤認とは、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、 実際のものよりも著しく優良であると示し、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの等をいい、故意に偽らなくても対象になる。そして、消費者庁長官は、優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合には、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、①事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、②提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠(提出資料が、試験・調査によって得られた結果又は専門家等による見解等があるなど客観的に実証された内容のものであり、かつ、表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること)を示すものと認められない場合には、当該表示は、措置命令(防止措置等)をする際に不当表示とみなすことができる(景品表示法4条2項)。

(タカショーの問題)

 タカショーが合理的な根拠を示したかどうかは明らにされていないが、タカショーは、サーモグラフィー実験での結果に「シェード商品を使用した内側の床面の表面温度が 10℃下がる。」と得られており、その表面温度を「気温」と誤って表示してしまったことが原因であるとしている。

 つまり、日よけがあることで表面温度が下がって涼しく感じることがあるものの、これは気温(空気の温度)が下がることとは同じではないということである。

 近時、消費者庁は、断熱効果をうたった窓ガラスフィルムを販売する業者2社に対して、その効果に十分な合理的根拠が示されなかったとして景品表示法に基づく措置命令を出すなど、今年に入って同法に基づく措置命令はタカショーに対する本件で8例目で、消費者庁が措置命令を活発に行っているといえる。上記のように、故意がなくとも優良誤認として措置命令をされる可能性があるため留意する必要である。

以上

(おにまる・のぞみ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2008年3月慶応義塾大学法科大学院卒業。2010年1月東京地裁判事補任官、2013年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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