◇SH0517◇消費者契約法専門調査会のポイント(第24回) 児島幸良・須藤克己(2015/12/26)

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消費者契約法専門調査会のポイント(第24回)

弁護士 児 島 幸 良

弁護士 須 藤 克 己

 

 平成27年12月25日、内閣府消費者委員会において、第24回消費者契約法専門調査会が開催された。以下、その概要を報告する。なお、本報告において、意見に亘る部分は、すべて報告者らの私見である。

1.配布資料

 以下の資料が配布された。
 

 配布資料

 資料1  消費者契約法専門調査会報告書(案)

 資料2 「合理的な判断をすることが出来ない事情を利用して契約を締結させる類型」について
     (消費者庁提出資料)

 資料3 「不当条項の類型の追加」について(消費者庁提出資料)

 資料4  山本健司委員提出資料

 

2.議事内容

  1. ⑴ 事務局から、資料2及び資料3に基づいて、以下の個別論点に関する説明があり、審議が行われたが、いずれも事務局提案通りとなった。(内容については後述)

    • • 合理的な判断をすることが出来ない事情を利用して契約を締結させる類型
    • • 不当条項の類型の追加
  2. ⑵ 続いて、事務局から、資料1に基づいて、これまでの審議結果のとりまとめとして消費者契約法専門調査会報告書(案)(以下「報告書案」)の説明があり、審議が行われた。

 

3.審議(報告書案)の主な内容

  1. ⑴ これまでの審議結果を踏まえ、委員間で意見の集約が図られた論点については「速やかに法改正を行うべき内容を含む論点」として纏められた。論点・内容は、以下の通り。

    • ①「重要事項」(法第4条第4項)
      不実告知による取消し(法第4条第1項第1号)に限り、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」を法第4条第4項所定の事由に追加して列挙することとする。(なお、不利益事実の不告知の場面については引き続き検討することとされた。)
    • ② 合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型
      事業者が、消費者に対して、過量契約(事業者から受ける物品、権利、役務等の給付がその日常生活において通常必要とされる分量、回数又は期間を著しく超える契約)に当たること及び当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことを知りながら、当該過量契約の締結について勧誘し、それによって当該過量契約を締結させたような場合に、意思表示の取消しを認める規定を新たに設けることとする。
    • ③ 取消権の行使期間(法第7条第1項)
      取消権の行使期間のうち、短期の行使期間を1年間に伸長することとする。
    • ④ 不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果
      新民法第121条の2第1項の規定にかかわらず、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者が、消費者契約法の規定により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合であって、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者の返還義務の範囲を現存利益に限定する旨の規定を設けることとする。
    • ⑤ 事業者の損害賠償責任を免除する条項(法第8条第1項)
      法第8条第1項第3号・第4号の「民法の規定による」という文言は削除することとする。
    • ⑥ 不当条項の類型の追加/消費者の利益を一方的に害する条項
      a. 債務不履行の規定に基づく解除権又は瑕疵担保責任の規定に基づく解除権をあらかじめ放棄させる条項を例外なく無効とする規定を設けることとする。
      b. 法第10条前段を改正し、これに該当する消費者契約の条項の例示として、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項を挙げることとする。
  2. ⑵ これまでの審議結果を踏まえ、委員間で意見の相違があり、未だ集約が図られていない論点については、引き続き本調査会で検討すべき「上記以外の論点」として纏められた。当該論点は、以下の通り。

    • 「勧誘」要件の在り方(法第4条第1項、第2項、第3項)
    • 不利益事実の不告知(法第4条第2項)
    • 困惑類型の追加
    • 不招請勧誘
    • 第三者による不当勧誘
    • 「解除に伴う」要件の在り方(法第9条第1号)
    • 「平均的な損害の額」の立証責任(法第9条第1号)
    • 条項使用者不利の原則 他
  3. ⑶ 報告書案は、事務局提案に本調査会で委員から諸処指摘された修正を加え、取り纏められた(形式的な修正については座長一任)。

以上

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