金融庁、「重要情報シート」を作成・活用する際の手引き」を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 浜 崎 祐 紀
金融庁は、令和3年5月12日、金融事業者が「重要情報シート」を作成・活用する際に参考となると思われる目線や今後考えられるベスト・プラクティスの例を「手引き」としてまとめたものを公表した。以下では、その「手引き」の概要を紹介する。なお、「重要情報シート」は、法令を直接の根拠とするわけではないが、「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書-顧客本位の業務運営の進展に向けて-」[1](令和2年8月5日公表)(以下「報告書」という。)において、金融商品・サービスの提案・選別に際し、積極的に用いられることが望ましいとされたもので、これを用いることにより、顧客に対する簡潔な情報提供のほか、各業態の枠を超えた多様な商品の比較を容易にする効果が期待されている。
1 「重要情報シート」の作成の手引きの概要
金融庁が公表する「重要情報シート」のフォーマットには、金融事業者に関する情報についての「金融事業者編」と金融商品・サービスに関する情報についての「個別商品編」がある。
⑴ 金融事業者編
「金融事業者編」のフォーマット[2]上、「1.当社の基本情報」、「2.取扱商品」、「3.商品ラインナップの考え方」、及び「4.苦情・相談窓口」が記載項目となっている。
この点、「手引き」上、例えば、「3.商品ラインナップの考え方」について、「顧客が自らの投資目的に適った商品を取り扱う業者にアクセスできるよう、商品選定のコンセプトや留意すべき制約等を簡潔に明示する。また、金融事業者のグループ会社が組成等する商品を多く取り扱う場合はその理由を含めて記載し、販売仲介業者については主にどの金融事業者から仲介の委託を受けているのかを明記することが考えられる」とされており、その記載内容がイメージしやすいものとなっている。
(出典:金融庁「重要情報シート」フォーマットの「金融事業者編」より抜粋)
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(はまさき・ゆうき)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2004年東京大学経済学部卒業。2010年早稲田大学大学院法務研究科修了。2013年弁護士登録及び公認会計士登録。2003年から2006年まで監査法人トーマツに勤務。2012年から2013年まで原口総合法律事務所に勤務。2013年から2015年までPwC税理士法人に勤務。一般企業法務、会計監査業務、税務コンサルティング業務等に従事。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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