◇SH0645◇企業内弁護士の多様なあり方(第16回)-仕事の形態(中) 山本雅子(2016/04/27)

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企業内弁護士の多様なあり方(第16回)

-第6 仕事の形態(中)-

野村證券法務部政策調査課

山 本 雅 子

第6 仕事の形態(中)

 (2) 「チーム一体」とは、法務部門の業務の契機として事業部門からの契約書審査や法律相談等が中心となる点では単独の場合と同様であるが、業務発生後は単純な書面審査だけではなく、企業内の他の部門と積極的にコミュニケーションをとり、事業部門との調整の上、法務部門としてではなく企業として最適な結論を導きだそうとするスタイルである。

 この場合、法務部門は、企業にとって最適な結論を出すため、必要であれば事実関係の確認の段階から積極的に関与し、必要であれば企業内の各部門との調整等も行い、またともすれば事業部門が放置しがちになる各案件について適切な時期に進捗確認を行うこととなる。

 法務部門は、自らが企業内で当該案件についてまさに各案件の当事者として関与するのであり、リーガルオピニオンの作成よりも、個々の案件に対して適切な結論を導き出すという結果について責任を負っているといえる。そのため、この場合、法務部門は各事業部門の利害調整や、個別案件について当該リスクが会社として取り得るものか否かのアドバイス、場合によっては事業部門との衝突等、企業内において当事者として泥をかぶらざるえないケースが多い。

 法務部門の人間は、法的知識と同程度に、事業部門が話したがらない事実や気付いていない事実を引き出し、更には企業内の他部門の利害関係が錯綜する案件について各部門を調整するコミュニケーション能力が求められるものであり、時には事業部門と衝突する気概も必要となる。

(以下、次号)

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