企業内弁護士の多様なあり方(第29回)
-「新人弁護士を採用する企業の期待」(上)
オリックス不動産株式会社
弁護士 真 銅 孝 典
第11 新人弁護士を採用する企業の期待 (上)
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企業内弁護士の人数は、著しい増加傾向にあるが(※1)、中でも新人企業内弁護士(※2)の増加は顕著である(※3)。そこで新人弁護士を、法務人材として採用する企業が、当該弁護士へ期待している点について、企業側から聞かれる意見も参考にして、若干考察する。
- (※1) 2001年と2015年の企業内弁護士数を比較すると、65名程度から1547 名まで増加している。
- (※2) 典型的には法科大学院・司法修習を経て、社会人経験及び法律事務所勤務経験なく、企業に就職した弁護士を念頭においている。
- (※3) もっとも、最近は数年間法律事務所でのキャリアを積んでから企業内弁護士に転職する者も増えている。
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まず、新人弁護士には、当然ながら弁護士としての実務経験がないため、企業としては、弁護士としての法律実務能力に期待して採用しているわけではない。すなわち、即戦力の法律実務家として当該企業において活躍することは期待されていないのが通常である(※4)。もっとも、早い段階から一人前の法務担当者として活躍することを期待されている面は大いにあるし、他の部門からは新人かどうかに関係なく弁護士としての法的意見を求められることはある。
- (※4) 一部の企業では、新人弁護士を採用し、顧問法律事務所等に出向させて弁護士としての実務経験を積ませ、早い段階から当該企業で弁護士として活躍することを期待している場合はある。
(以下、次号)