◇SH0777◇企業内弁護士の多様なあり方(第32回)-シニアな弁護士を採用する企業の期待(上) 本間正浩(2016/08/31)

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業内弁護士の多様なあり方(第32回)

シニアな弁護士を採用する企業の期待(上)

日清食品ホールディングス

弁護士 本 間 正 浩

 

 欧米、特に米国においては、法務部門の統括者として弁護士を置き、さらに「ジェネラル・カウンセル」あるいは「チーフ・リーガル・オフィサー」の職名の下に、これを役員レベルとすることが常態となっている。日系企業においては、かかるポジションは従前はほとんど存在していなかったが、ここ数年のうち、このような職を設ける動きが現れてきた。もっとも、日系企業では筆者の知る限り10社程度ではあるが。(しかも、そのうちの約半数は米国の弁護士である。)役員クラスとはいかないまでも、法務部長等、法務部門の総括として弁護士を置く企業も増加している。

 本稿は、法務部門の総括者以上のシニアなポジションに弁護士を起用する場合の企業の期待値について議論するものである。なお、前述の通り、我が国では企業内弁護士の歴史が短く、これらシニアなポジションに就く弁護士の前例も少ないことから、本稿は150年になんなんとしている米国における議論、および米系企業に勤務した筆者の見聞に拠ることが大きいことを了解願いたい。

 企業がシニアなポジションに弁護士を起用する理由は何か。それは、必ずしもその専門的知識の深さに期待するものでない。一企業にとって対応が必要な分野は多岐にわたる一方で、専門性を追求するのであれば、各分野において相当の深堀りが必要である。その点については、例えシニアとはいえ、弁護士一人雇うだけでは意味は薄い。法分野における専門性が必要であれば、各分野ごとに、専門性の高い外部弁護士に依頼する方が有益である。

 それでは、企業はシニアな弁護士に何を期待するのか。それは一言で言えば、法務を企業の経営に関わる重要機能と位置づけ、法務部門を経営陣に緊密に連携させ、さらには経営機能の一部に組み込むために、経営陣の一翼あるいはこれに準ずる立場に法務部門の長を置く必要からである。それに弁護士を起用するのは、法務がすぐれて専門的業務であるということがらの性質、なかんづく、経営機能の一翼を担うということになると、難しい法律問題について意思決定をすることが求められるところ、専門家でなければ決断をすることは不可能であるからである。

 次号はこれを受けて、シニアな企業内弁護士に要求される能力・資質について述べてみたい。

 

 

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