◇SH0851◇中国における外商投資企業の設立、変更等に関する制度変更について(下) 若江 悠(2016/10/26)

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中国における外商投資企業の設立、変更等に関する制度変更について(下)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 若 江   悠

 

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3 届出弁法の規定(持分譲渡を例に)

 以下、届出弁法の規定に関して、持分譲渡による会社持分の変更を例に、どのような手続になるかをご紹介する。

 届出弁法によれば、外商投資企業の持分変更については、対象会社は、その発生後30日以内に、総合管理システムを通じて「外商投資企業変更届出申告表」等を提出し、変更届出手続を履行しなければならない(届出弁法6条1項)とされている。変更届出手続にあたり提出すべき書類は、審査認可申請において必要とされていた書類に比べると非常に少なくなり、また提出方法もオンラインでのアップロードにより行う(届出弁法7条参照。)。届出機関は、オンラインで変更届出申告書及びその他の書類の提出を受けた後、届出内容が届出すべき範囲の事項に属するか等の形式的な審査を行い、3営業日以内に届出を完了させ、その総合管理システムで開示する(届出弁法11条)。当該届出の結果について、外商投資企業は総合管理システムにおいて確認することができるほか、必要に応じて、工商局における変更登記完了後取得した新たな営業許可証をもって届出機関に対し申請することにより「外商投資企業変更届出受領書」を受け取ることができる(届出弁法12条)。

 新制度のもとで、どの時点で外商投資企業の持分変更が発生したものとされるかについては、届出弁法6条3項で「外商投資企業の最高権力機構により変更決議又は決定が出された時点を、外商投資企業の変更事項の発生時点とする。外商投資企業の変更事項の発効条件について法令上別段の要求がある場合は、相応の要求を満たす時点をもって変更事項の発生時点とする。」との規定があり、従来の制度のように審査認可機関による認可を得なくても持分変更が発生することとされており、その時点を起算点として30日以内に届出が必要とされている。当事者間で効力発生時点について特段の定めをした場合の扱い等、不明な点も残っている。いずれにしても、多くの事項について審査認可が必要とされていた状況と異なり、より会社法自体の解釈が問題とされる事態が増加していくのではないか。

 新制度のもとでも、持分変更に伴う工商局における変更登記は変更後30日以内に実施する必要があり(会社登記管理条例34条)、変更登記がなければ第三者に対抗することができない(会社法32条)。工商局における変更登記申請に先だって、届出機関における届出が完了している必要があるかどうかについては、新制度と類似の届出制度を先行して導入していた上海の自由貿易区における実務では、届出機関からの「届出証明」を、工商局への変更登記申請にあたり提出する必要があるとされていたが、上記工商総局の通知によれば、届出機関での届出は工商局における変更登記の前置要件ではなく、設立登記や変更登記にあたり商務部門の発行する届出証明を提出しなくてよいとされている。それでは、変更事項の発生次第、届出手続と変更登記手続を同時に進行させてよいことになるのかなど、さらに実務運用を注視する必要がある。現時点で、一部地方の当局では、(商務部門の批准証書や届出証明が不要であるという以外に)特に提出書類に変更はなく、また届出手続と工商登記手続は前後関係になく独立して並行して行うことができるとの運用を開始しているようである。

以上

 

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