◇SH1178◇GPIF、「第2回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表(2017/05/22)

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GPIF、「第2回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する
上場企業向けアンケート集計結果」を公表

−−機関投資家全般に「好ましい変化」があったが、議決権行使結果の説明要請を断られるケースもごく一部に−−

 

 年金積立金管理運用独行政法人(GPIF)は5月16日、「第2回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表した。

 GPIFでは、運用受託機関のスチュワードシップ活動に対する評価と「目的を持った建設的な対話」(エンゲージメント)の実態把握を目的として、上場企業を対象としたアンケートを昨年から実施しており、今年は2回目の調査となる。今回の調査は、JPX日経インデックス構成銘柄企業を対象に行われ、回答社数は272社(回答率68%)であった。

 アンケート結果の概要をみると、まず、前回アンケート以降の機関投資家の変化について、「変化を感じる」と回答した企業が合わせて56.3%あり、その大多数が好ましい変化であったとしている。

 しかし、機関投資家の変化の状況を項目ごとにみると、「大きな変化は見られない」とする回答が「IRミーティングに向けた機関投資家の事前準備」では82.4%、「コーポレート・ガバナンス報告書の機関投資家による活用」では75.4%と多数を占める結果となった。「統合報告書の機関投資家による活用」については、「無回答(未作成)」の企業が40.1%と多かったが、「進んでいると感じられる」とした企業が24.6%と、他の項目に比較すると多かった。

 株主総会における議決権行使に関しては、「機関投資家から賛否結果および行使理由について説明があったか?」について、回答企業の約44%が「何らかの説明があった」としているが、「説明はなかった」という企業も54.8%あった。

 「議決権行使結果の説明を要請したものの断られたケースはあったか?」については、3.3%が「ある」と回答した。

 GPIFによると、今回のアンケートでは、「議決権行使について、形式的な基準や議決権行使助言会社の推奨結果を機械的に適用することへの懸念」が挙げられたなどとして、「行使結果や行使に至った判断のプロセスについて明らかにすることは、企業と投資家双方の理解を深め、今後の企業経営や議決権行使に活かすためにも必要」としている。

 次に、「統合報告書またはそれと同等の目的の機関投資家向け報告書の作成の有無」については、48%が「作成済み」と回答。「今後作成予定」(9%)、「作成を検討中」(24%)を合わせると、回答企業の4分の3に達する。

 「ESGやCSRに特化した機関投資家向け説明会の開催」については、「開催している」企業は7%にとどまるが、「未開催」(91%)の企業に今後の方針を聞くと、そのうち2%が「今後開催予定」、16%が「開催を検討中」としている。

 「SDGs(持続可能な開発目標)への取組状況」に関しては、「無回答」(34%)、「聞いたことがあるが、内容はよく知らない」(11%)などとする企業が多く、現状での認知度はそれほど高くないとみられる一方で、「知っており、取組みを始めている」企業が24%、「知っており、取組みを検討中」という企業も21%あった。

 「アセットオーナーであるGPIFのスチュワードシップ活動に関して期待すること」については、「中長期的視点に基づく投資や対話を重視するよう運用会社に働きかけること」や、「GPIF自身がスチュワードシップ活動を一層推進すること」、等の回答が多かった。

 

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