法務省、不動産登記令等の改正に伴う添付情報の変更について(11月2日施行)
岩田合同法律事務所
弁護士 臼 井 幸 治
法務省は、平成27年10月26日、不動産登記令等の一部を改正する政令(平成27年政令第262号)及び不動産登記規則等の一部を改正する省令(平成27年法務省令第43号)により、平成27年11月2日から、法人が申請人又は代理人である場合の不動産登記等の申請における添付情報の取扱いについて、以下のとおり変更(※)となることを公表した。
- ① 不動産登記等の申請をする場合に、申請人が法人である場合、現在は、当該法人の「代表者の資格を証する情報」(以下「資格証明情報」という。)を提供する必要があるところ、平成27年11月2日以後受付分の申請については、当該法人の資格証明情報の提供に代え、申請情報に会社法人等番号を記録又は記載することとなる(但し、資格証明情報として、代表者の資格を確認することができる「作成後1カ月以内の登記事項証明書」を提供する場合には、会社法人等番号の記録又は記載は不要)。
- ② 法人が所有権を取得して不動産の登記名義人となる場合、及び不動産登記に登記されている法人の住所を変更する場合の登記を申請する場合、当該法人の住所を証する情報(以下「住所証明情報」という。)を提供する必要があるところ、同日以後受付分の申請については、申請情報に会社法人等番号を記録又は記載することにより、住所証明情報の提供を省略することができる。
これは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年5月31日法律第27号。以下「番号法」という)の施行に伴うものである。すなわち、番号法の施行に伴って関係法令を整備するいわゆる「整備法」である、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成25年法律第28号)第13条の規定により商業登記法(昭和38年法律第125号)の一部が改正され、商業登記簿に、特定の会社等を識別するための番号として会社法人等番号を記録することとされた。これを受け、法務省は、不動産登記等の申請における申請人である法人の負担軽減を図るため、申請人が会社法人等番号を有する法人である場合、資格証明情報や住所証明情報の提供を不要とすることとしたものである。
従前、筆者の「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集に係るタイムラインにてご紹介した通り、会社法人等番号は番号法に基づく法人番号ともリンクしており、法人番号が分かれば登記されている法人の会社法人等番号も分かることとなる。また、法人番号は、法人の商号又は名称、及び本店又は主たる事務所の所在地とともに、インターネットを通じて公表されることが予定され、マイナンバーと通称される個人番号と異なり、その収集、保管、廃棄等に係る厳格な法規制は存在せず、利用範囲にも制限がないため、行政上の利用のみならず民間における利用も期待され、取引先情報の集約による業務の効率化や新規営業先の情報取得の一手段としての利用が期待されるところである。
このように、法人番号は、個人番号と異なり厳格な制約を受けることなく事業活動への活用が可能となるものであり、また、上記の通り、法人番号を構成する会社法人等番号は、不動産登記等の申請における申請人である法人の負担軽減に資する等、法人の事業活動に有益な側面が大きい。
なお、不動産登記等の申請をする場合には、従前通り、資格証明情報の提供により対応することもできるが、その有効期限が、従前は発行日から3ヶ月以内であったところ、上記の通り、1カ月以内と変更されており、この点の変更は見落としやすいため、資格証明情報を提供する場合には留意する必要がある。
※司法書士法人等の法人である代理人が登記申請をする場合の変更もあるが、ここでは割愛する。
以上
変更前 | 変更後 |
不動産登記等の申請をする場合、資格証明情報(発行日から3ヶ月以内)の提供が必要。 | 左記の場合、申請情報に会社法人等番号を記録又は記載することにより、資格証明情報の提供が不要。資格証明情報(発行日から1ヶ月以内)の提供でも可。 |
法人が所有権を取得して不動産の登記名義人となる場合、及び不動産登記に登記されている法人の住所を変更する場合の登記を申請する場合、住所証明情報の提供が必要。 | 左記の場合、申請情報に会社法人等番号を記録又は記載することにより、住所証明情報の提供が不要。 |