◇SH1530◇経産省、産構審不正競争防止小委員会「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」につき意見募集を開始(2017/12/05)

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経産省、産構審不正競争防止小委員会「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」につき意見募集を開始

-データの不正利用等のうち悪質性の高い行為を「不正競争行為」として規律を設ける--

 

 経済産業省は11月24日、産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会(委員長=岡村久道・京都大学大学院医学研究科・弁護士)が取りまとめた「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」をパブリックコメント手続に付し、意見募集を開始した。12月24日まで意見を求めることとしている。

 政府は、データの適切な利活用を促すための環境整備が不可欠であるとしている。経産省では平成28年12月から、産構審知的財産分科会「営業秘密の保護・活用に関する小委員会」において、第四次産業革命に向けたデータ保護のあり方を中心に不正競争防止法に係る課題について審議を行い、今年5月に「第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討 中間とりまとめ」を公表したところである。

 産構審知的財産分科会の不正競争防止小委員会では、上記の「中間とりまとめ」に沿って、今年7月から、不正競争防止法の改正に向けて、

  1. (1) データ利活用促進に向けた制度
  2. (2) 技術的な制限手段による保護
  3. (3) 技術的な営業秘密の保護(政令事項)

の事項について検討を行い、11月21日の第8回会合において、今後政府が対応すべき事項を「中間報告」として取りまとめたものである。

 以下では、「中間報告(案)」のうち、「第一章 データ利活用促進に向けた制度について」から、「不正競争行為」に関する部分等を抜粋して紹介する。

 

○ 第一章 データ利活用促進に向けた制度について

3 データに係る不正競争行為

 (1) 不正取得類型について

  1. ①:権原のない外部者が、管理侵害行為によって、データを取得する行為
    ※「管理侵害行為」とは、データ提供者の管理を害する行為(不正アクセス、建造物侵入等)、又は、データ提供者に技術的管理を外させて提供させる詐欺等に相当する行為(詐欺・暴行・強迫)をいう。
  2. ②:①によって取得したデータを使用する行為
  3. ③:①によって取得したデータを第三者に提供する行為

以上の行為を「不正競争行為」とし、救済措置を設けるべきである。

  1. <該当例>
  2. ・ 他人のID・パスワードを用いてデータ提供事業者のサーバに侵入し、正規会員のみに提供されているデータを自分のパソコンにコピーする行為(①)
  3. ・ 特定の者のみに提供されているデータを、それ以外の者が、データ提供事業者の従業員を強迫して、パスワードとともに、メールで送付させた上、当該データを自社のプログラム開発に使用する行為(②)
  4. ・ 不正アクセス行為によりデータ提供事業者のサーバから取得したデータを、データブローカーに販売する行為(③)


(2) 著しい信義則違反類型について
 第三者提供禁止の条件で、データ提供者から取得したデータを、不正の利益を得る目的又は提供者に損害を加える目的(図利加害目的)を持って、

  1. ④:横領・背任に相当すると評価される行為態様(委託契約等に基づく当事者間の高度な信頼関係を裏切る態様)で、使用する行為
  2. ⑤:第三者に提供する行為

以上の行為を「不正競争行為」とし、救済措置を設けるべきである。

  1. ※「図利加害目的」とは、自らに権原がないことを知りながら、不正の利益を得る目的又はデータ提供者に損害を加える目的であり、公序良俗または信義則に反する態様で、自己又は他人の金銭、名誉、満足等を得る目的、データ提供者に有形無形の不当な損害を加える目的等がこれに当たる。なお、データ利用者側の予見可能性を高める観点から、具体的な内容については、ガイドライン等において、明確化を図る。
  2. ※ 図利加害目的を持った従業員が④⑤の行為をした場合、従業員が所属する法人が「不正競争行為」としての責任を問われるのは、その法人の業務として行った行為と評価される場合のみ。

 

  1. <該当例>
  2. ・ データ提供者が商品として提供しているデータについて、専ら提供者のための分析を委託されてデータ提供を受けていたにもかかわらず、その委託契約において目的外の使用が禁じられていることを認識しながら、無断で当該データを目的外に使用して、他社向けのソフトウェアを開発し、不正の利益を得る行為(④)。
  3. ・ 第三者への提供が禁止されているデータであることが書面による契約で明確にされていることを認識しながら、金銭を得る目的で、当該データをデータブローカーに横流し販売し、不正の利益を得る行為(⑤)。

(3) 転得類型について
 (ⅰ) 取得するデータについて不正行為(不正取得(①)又は不正提供(⑤))が介在したことを知っている(悪意の)者が、

  1. ⑥:当該不正行為に係るデータを取得する行為
  2. ⑦:⑥によって取得したデータを使用する行為
  3. ⑧:⑥によって取得したデータを第三者に提供する行為

以上の行為を「不正競争行為」とし、救済措置を設けるべきである。

 なお、「営業秘密」とは異なり、入手経路への注意義務が転得者に課されないよう、重過失の者は対象外とすべきである。また、不正提供(⑤)に係る悪意については、⑤の行為者が権原の範囲を越えて提供していることを知っているだけでなく、「図利加害目的」を有していることを知っていることまで必要とすべきである。

  1. <該当例>
  2. ・ 不正アクセス行為によって取得されたデータであることを知りながら、当該行為を行ったハッカーからそのデータを受け取る行為(⑥)。その後、自社のプログラム開発に当該データを使用する行為(⑦)
  3. ・ 転売禁止のデータを、料金を払って購入した者に対し、当該者に別途便宜を図ることを提案し、その見返りとして、無償で当該データの提供を受けた後、当該データをデータブローカーに転売する行為(⑧)

 (ⅱ) 取得時に不正行為(①又は⑤)が介在したことを知らずに取得した者が、その後、不正行為の介在を知った(悪意に転じた)場合、悪意に転じた後に、当該データを、

  1. ⑧’:第三者に提供する行為

を「不正競争行為」とし、救済措置を設けるべきである。

 ただし、転得者が悪意に転じる前の取引で定められた権原の範囲内での提供は、適用除外とすべきである。なお、悪意に転じる基準、「権原の範囲」等については、ガイドライン等において、明確化を図る。

  1. <該当例>
  2. ・ データ流通事業者が、データを仕入れた後において、そのデータの提供元が、不正取得行為を行ったという事実を知ったにもかかわらず、その後も、自社の事業として、当該データの転売を継続する行為。
  3. ・ ただし、悪意に転じる前に、その提供元と結んだ契約において、×年間の提供が認められていた場合、悪意に転じた後も、契約期間×年間の終了までの間は、その提供行為は、「不正競争行為」には該当しない。

 

5 不正使用行為によって生じた物の取扱い

 データの不正使用により生じた物(物品、AI学習済みモデル、マニュアル、データベース等)の譲渡等の行為は、対象とすべきではない。(ただし、成果物から元データが取得できる場合は、その限りにおいて、データの不正提供に該当する。)

 

6 救済措置

 で示したデータに係る「不正競争行為」につき、民事措置(差止請求、損害賠償請求(損害額の推定規定等)、信用回復措置)を導入すべきである。
 なお、不正使用に対する差止請求権については、消滅時効として不正使用行為を知ってから3年、不正使用行為が開始されてから20年とすべきである。
 刑事措置については、今後の状況を踏まえて、引き続き検討すべきである。

 

  1. 経産省、産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」に対する意見募集(11月24日)
    http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595217046&Mode=0
  2. ○ 産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会の審議経過
    http://www.meti.go.jp/committee/gizi_1/33.html#fuseikyousou
  3. ○ 同小委員会第8回配布資料
    http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/chitekizaisan/fuseikyousou/008_haifu.html
  4.  
  5. 参考 SH1155 経産省、「第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討--中間とりまとめ」を公表(2017/05/12)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=3602551
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