民法の一部を改正する法律(債権法改正)の施行期日は2020年4月1日に決まる
--定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」の規定は2018年4月1日施行--
「民法の一部を改正する法律(債権法改正)」(平成29年法律第44号)の施行期日を定める政令(平成29年政令第309号)が12月20日に公布され、同法は一部の規定を除き2020年4月1日から施行されることとなった。
なお、債権法改正の施行日の例外については、附則1条各号で次のように規定されており、今回の政令で次のように定められた。
- 1号 附則第37条(政令への委任)の規定 公布の日【6月2日から施行済み】
- 2号 附則第33条第3項(定型約款に関する経過措置)の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日【2018年(平成30年)4月1日】
- 3号 附則第21条第2項及び第3項(保証債務に関する経過措置)の規定 公布の日から起算して2年9月を超えない範囲内において政令で定める日【2020年(平成32年)3月1日】
法務省民事局は12月15日にHPを更新して、債権法の施行日が決まったことを公表するとともに、上記の施行日の例外について資料を掲載して解説しているので、以下ではこれを紹介する。
○ 施行日の2つの例外
- ① 定型約款について
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定型約款に関しては、施行日前に締結された契約にも、改正後の民法が適用されますが、施行日前(平成32年(2020年)3月31日まで)に反対の意思表示をすれば、改正後の民法は適用されないことになります。この反対の意思表示に関する規定は平成30年(2018年)4月1日から施行されます。なお、この反対の意思表示に関する詳細は、別途、ホームページ上の「定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」について」をご覧ください(後掲)。
- ② 公証人による保証意思の確認手続について
- 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は一定の例外がある場合を除き、事前に公正証書が作成されていなければ無効となりますが、施行日から円滑に保証契約の締結をすることができるよう、施行日前から公正証書の作成を可能とすることとされています。この規定は平成32年(2020年)3月1日から施行されます。
○ 定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」について
定型約款に関しては、施行日前に締結された契約にも、改正後の民法が適用されますが、平成30年(2018年)4月1日から、施行日前(平成32年(2020年)3月31日まで)に反対の意思表示をすれば、改正後の民法は適用されないこととされています(改正法附則第33条第2項・第3項参照)。
- 《反対の意思表示に関するご注意》
- ※ 反対の意思表示がされて、改正後の民法が適用されないこととなった場合には、施行日後も改正前の民法が適用されることになります。もっとも、改正前の民法には約款に関する規定がなく、確立した解釈もないため、法律関係は不明瞭と言わざるを得ません。改正後の民法においては、当事者双方の利益状況に配慮した合理的な制度が設けられていますから、万一、反対の意思表示をするのであれば、十分に慎重な検討を行っていただく必要があります。
- ※ 契約又は法律の規定により解除権や解約権等を現に行使することができる方(契約関係から離脱可能な者)は、そもそも、反対の意思表示をすることはできないこととされていますので、ご注意ください。
- ※ 反対の意思表示は、書面やメール等により行う必要があります。書面等では、後日紛争となることを防止するため、明瞭に意思表示を行うようご留意ください。
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法務省、「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」を更新しました(施行期日が決まりました)(12月15日)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html -
○ 民法(債権関係)改正法の施行期日について
http://www.moj.go.jp/content/001242839.pdf -
○ 定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」について
http://www.moj.go.jp/content/001242840.pdf -
参考
SH1498 法務省民事局、債権法改正についてHPを更新--「主な改正事項」等の説明資料等を掲載--(2017/11/15)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=4843223