知的財産戦略本部、「知的財産推進計画2023」を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 安 西 一 途
1 はじめに
知的財産戦略本部は、2023年6月9日、「知的財産推進計画2023」(以下「本計画」という。)を公表した[1]。
本計画では、知財戦略を考える上で踏まえるべき日本の置かれている現状を基本認識として整理し、今後、知財戦略を推進する際に重要となる政策課題と施策を、10項目の重点施策として整理している。昨年公表された「知的財産推進計画2022[2]」との比較は以下のとおりである(変更箇所は赤字のとおり)。
知的財産推進計画2022 | 知的財産推進計画2023 |
1. スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化 | 1. スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化 |
― | 2.多様なプレイヤーが対等に参画できるオープンイノベーションに対応した知財の活用 |
― | 3.急速に発展する生成AI時代における知財の在り方 |
2.知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化 | 4.知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化 |
3.標準の戦略的活用の推進 | 5.標準の戦略的活用の推進 |
4.デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備 | 6.デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備 |
5.デジタル時代のコンテンツ戦略 | 7.デジタル時代のコンテンツ戦略 |
6.中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化 | 8.中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化 |
7.知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化 | 9.知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化 |
8.アフターコロナを見据えたクールジャパンの再起動 | 10.クールジャパン戦略の本格稼働と進化 |
本稿では、重点施策の項目として本年新たに追加された「多様なプレイヤーが対等に参画できるオープンイノベーションに対応した知財の活用」及び「急速に発展する生成AI時代における知財の在り方」の概要について紹介する。
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(あんざい・かずと)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2018年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2019年弁護士登録。知的財産分野、ジェネラルコーポレート等の企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)
知的財産戦略本部、「知的財産推進計画2023」を決定〔生成AIと著作権、「知財・無形資産の投資・活用促進」の実現に向けて他〕
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku_kouteihyo2023.pdf