SH4879 米国司法省、スマートフォン市場の独占が反トラスト法に違反するとしてApple社を提訴 上西拓也(2024/04/03)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

米国司法省、スマートフォン市場の独占が
反トラスト法に違反するとしてApple社を提訴

岩田合同法律事務所

弁護士 上 西 拓 也

 

 2024年3月21日(現地時間)、米国司法省(以下、「DOJ」という。)はApple Inc.(以下、「アップル」という。)を被告として、反トラスト法を構成するシャーマン法の第2条(独占化または独占化の企図)に違反し、スマートフォン市場を独占しまたは独占を企図したとして、ニュージャージー州連邦地方裁判所に民事訴訟(以下、「本件訴訟」という。)を提起した。

 本件訴訟には、DOJに加え、ニュージャージー州を含む16の州の司法長官が参加しており(以下、「DOJら」という。)、DOJらは、アップルの行為が米国の高性能スマートフォン[1]市場およびスマートフォン市場における独占(の企図)としてシャーマン法第2条に抵触すること、さらに、ニュージャージー州およびウィスコンシン州の独占禁止法に抵触することを主張し、裁判所に対し、反競争的な行為の差止め等を求めている。

 訴状(complaint)において、アップルは、開発者に対して選択的に契約上の制限を課すことにより、また、API(アプリとiPhoneのOSとの間の接点(インターフェース))に対するアクセスを制限することにより、スマートフォンに対する独占を違法に維持したとされている。さらに訴状では、アップルが、ユーザーのiPhoneへの依存度を下げ、スマートフォン間の相互運用性を促進し、また、消費者と開発者のコストを低減するアプリ、製品およびサービスを弱化させたこと、独占的な力によって、消費者、開発者、コンテンツ作成者、アーティスト、出版者、中小企業、販売者等から資金を搾取したことが指摘されている。DOJは、本件訴訟について、米国民のために、市場への競争を回復するための救済を求めるものと説明している。

 訴状において、アップルによる反競争的な行為として挙げられているものは多数にのぼるが、次のような行為が含まれる。

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(うえにし・たくや)

岩田合同法律事務所弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録。『Q&A 家事事件と銀行実務』(共著、日本加除出版、2013年)、「各業務における反社勢力対応のポイント」(共著。銀行実務658号)、『Q&Aインターネットバンキング』(共著 金融財政事情研究会 2014年)等著作多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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米国司法省、スマートフォン市場の独占が反トラスト法に違反するとしてApple社を提訴
https://www.justice.gov/opa/pr/justice-department-sues-apple-monopolizing-smartphone-markets

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