中企庁、価格交渉促進月間(2023年3月)の
フォローアップ調査の結果を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 岩 本 圭 矢
1 はじめに
政府は、原油価格の大幅な値上がりや円安の急激な進展等による原油をはじめとするエネルギーコストや原材料価格の上昇が問題となっていることを受け、取引事業者全体のパートナーシップにより、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるようにするため、政府全体の施策として、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日内閣官房・消費者庁・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・公正取引委員会)[1]を公表するなど、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁するための施策を進めていた。かかる取組みの一環として、中小企業庁は、毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」としている[2]。
今般、2023年3月の「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査の結果(以下「本件調査結果」という。)とともに、今後の取組み方針が公表されたので、実務上参考になる点を概説する。
2 2023年3月「価格交渉促進月間」における価格交渉・転嫁の状況
【図1:価格交渉の状況】
(本件調査結果3頁より引用)
本件調査結果では、上図1のとおり、2022年9月に実施された前回調査に比べて、コストが上昇していない又はコストの上昇幅が自社で吸収可能な程度と回答した割合は合計で約8.1%減少している。他方で、価格交渉を行うことができた旨の回答をした受注側企業の割合は約5%の増加に留まっており、必要な価格交渉を行うことができていない受注側企業の割合も約3.1%増加したことがうかがわれる。
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(いわもと・よしや)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年九州大学法学部卒業。2016年九州大学法科大学院終了。2018年裁判官に任官し、破産・執行・保全を含む民事事件等を担当。2023年弁護士登録。コーポレート分野、株主総会対応など、企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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中企庁、価格交渉促進月間(2023年3月)のフォローアップ調査の結果を公表
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230620002/20230620002.html