中国:11月7日より領事認証が不要に
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 川 合 正 倫
外国法弁護士 王 雨 薇
2013年10月23日に、外国公文書の認証を不要とする通称ハーグ条約(1961年10月5日署名、略称:認証不要条約)が2023年11月7日より中国において発効することが公表された。
現在の実務では、日本企業が中国において当局の各種手続(会社の新設、持分譲渡等)や裁判所への訴訟提起、証拠提出等を行うにあたって、公文書および私文書のいずれについても日本における公印確認および領事認証の取得が求められている。これら一連の手続には、資料の準備や関連窓口へ出向く必要があるため、煩雑で時間と労力を要するものであるため、領事認証は個人および企業にとっても多大な負担となっており、場合によってプロジェクトのスケジュールに影響を与えることもある。
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ハーグ条約の発効後は、中国国内の当局や裁判所等に提出する書類に関して、公印確認および領事認証が不要となり、日本の外務省によるアポスティーユを取得すればよいことになり手続が簡素化されることとなる。
駐日中華人民共和国大使館は、ハーグ条約の発効に伴い、11月7日より、駐日中華人民共和国大使館における領事認証サービスを停止することを公表している。上記のとおり、制度上は領事認証が廃止されることになるが、実務においては、特に制度移行の当初は、余裕をもったスケジュールで書面提出先の当局の理解を確かめつつ対応することが望まれる。
以 上
(かわい・まさのり)
長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。
(Yuwei・Wang)
長島・大野・常松法律事務所 外国法弁護士。2012年中国政法大学法学部卒業、2015年早稲田大学法学研究科修了(法学修士)。M&A、コーポレートガバナンス、組織再編、債権回収、倒産、労働法、紛争解決を中心に様々な中国の法律問題を幅広く取り扱っている。
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