内閣府「AI時代の知的財産権検討会」第3回の動向
――AIと特許をめぐる議論について――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・弁理士 後 藤 未 来
弁理士 市 川 祐 輔
1 はじめに
内閣府が設置するAI戦略会議の第5回(2023年9月8日開催)においては、AI技術の急速な進歩によりAIと知的財産権の関係をめぐり新たな課題を惹起しているとの認識を踏まえ、これらの課題への対応について関係省庁における論点の整理等も踏まえつつ、必要な対応方策等を検討するため、「AI時代の知的財産権検討会」を開催することとされた[1]。
これを受けて、政府の知的財産戦略本部の下、2023年10月4日に「AI時代の知的財産権検討会」の第1回[2]が、同年10月18日に第2回[3]が、同年11月7日には第3回[4]がそれぞれ開催された。第3回の検討会では、AIと知的財産をめぐる様々な論点に関して、関係省庁のヒアリング結果の報告とこれを踏まえた議論が行われた。
このうち、AIと特許をめぐる論点等に関しては特許庁へのヒアリングの報告とこれを踏まえた議論が行われた。特許庁の報告資料に示された今後の施策の方向性は下表のとおりである。本稿では下記の論点にかかる議論を概観する。
(施策の方向性)
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(いちかわ・ゆうすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁理士。2007年早稲田大学(工学博士)。2008年弁理士登録。2016年カリフォルニア州弁護士登録。
ディープラーニング、通信ネットワーク、ブロックチェーンなど主にIT関連の技術分野と特許法をはじめとする知的財産法を専門とする。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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