営業秘密・限定提供データに関する制度改正の議論の動向(令和5年11月28日の不正競争防止小委員会会合)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 井 上 乾 介
弁護士 福 山 和 貴
1 はじめに
令和5年11月28日、産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会の第24回目の会合(以下「本会合」という。)が開催された。
本稿では、本会合で議論された議題のうち、①「限定提供データに関する指針」(以下「本指針」という。)の改訂案[1]②「秘密情報の保護ハンドブック」(以下「本ハンドブック」という。)の改訂案[2]③「従業員のための営業秘密・秘密情報漏えいの防止のためのてびき」(仮称)(案)[3](以下「本てびき」という。)の内容について概観する。
2 「限定提供データに関する指針」の改訂案について
⑴ 本指針の概要
本指針(平成31年1月23日)は、平成30年の不正競争防止法改正で導入された「限定提供データ」[4]につき、条文の解釈等に関する考え方や規制対象となる違反行為等の具体例を示している(限定提供データの具体的なイメージは以下の図のとおりである。)。
出典:「[参考資料]限定提供データについて」(経済産業省知的財産政策室、2021年12月20日)[5]8頁
本指針の詳細については過去記事[6]を参照されたい。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(ふくやま・かずき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。一橋大学法学部・一橋大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
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