SH5593 宇宙政策委員会、防衛省の宇宙領域防衛指針等について議論 清水亘/山田智希/新庄絢(2025/10/09)

そのほか新領域

宇宙政策委員会、防衛省の宇宙領域防衛指針等について議論

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 清 水   亘

弁護士 山 田 智 希

弁護士 新 庄   絢

 

1 はじめに

 2025年9月16日、内閣府の宇宙政策委員会(以下「委員会」という。)(第119回)が開催された[1]。委員会では、令和8年度宇宙関係予算の各省概算要求状況、宇宙戦略基金の進捗状況や宇宙技術戦略[2]の改訂検討状況に加え、防衛省が今年7月に公表した宇宙領域防衛指針(以下「防衛指針」という。)に関する説明・報告が行われ、これらの議題に関して委員による意見交換が行われた。

 近年、日本を含む多くの国で宇宙空間が安全保障上の最前線として位置づけられつつある。これまでも、通信・観測・測位(GPS)といったサービスは日常生活やビジネスの基盤として不可欠であったが、これに加えて、宇宙の戦闘領域化が進展し、宇宙空間における脅威とリスクが拡大している。たとえば、ロシアから通信インフラ等の攻撃を受けたウクライナ軍は、商用衛星画像や通信衛星コンステレーションを軍事作戦の中核として利用し、宇宙における民間力の活用が戦況に大きな影響を与えた。一方、中国やロシアをはじめとする一部の国家は、他国の衛星を妨害・無力化する技術開発を活発化しており、宇宙システムを介した情報戦が激化している。

 防衛指針は、宇宙が戦場になり得るという現実を踏まえ、宇宙利用の確保と防衛能力の強化が喫緊の課題であるとして防衛省が公表したものであり、同指針において、防衛省・自衛隊の宇宙能力を抜本的に強化する方針が打ち出された。

 以下では、防衛省が策定・公表した防衛指針の概要を紹介する[3]

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(しみず・わたる)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。東京大学法学部卒業。2005年弁護士登録(第一東京弁護士会。2012年愛知県弁護士会に登録替え)。主な取扱い分野は、知的財産法、テクノロジー法。

 

(やまだ・ともき)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2024年英国King’s College London, University of London (LL.M.)。2025年英国弁護士(Solicitor, England and Wales)登録。コーポレートガバナンス・グローバルコンプライアンス、国内外のM&A・組織再編のほか、宇宙・航空・海洋分野を中心とする国際法・国際取引法関連や地方自治体関連案件に積極的に取り組んでいる。2025年8月から、ライデン大学航空宇宙法研究所にて客員研究員として航空宇宙法の研究に従事。

 

(しんじょう・あや)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年慶應義塾大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院修了。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。

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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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