SH4836 人的資本経営の実践と情報開示の実務対応 第15回:人材版伊藤レポート2.0が示す「5つの共通要素」の解説(その1) 堀田陽平(2024/03/04)

ディスクロージャー組織法務経営・コーポレートガバナンス

人的資本経営の実践と情報開示の実務対応
第15回:人材版伊藤レポート2.0が示す「5つの共通要素」の解説(その1)

日比谷タックス&ロー弁護士法人

弁護士 堀 田 陽 平

 

第2部 人的資本経営の実践
 第15回:人材版伊藤レポート2.0が示す「5つの共通要素」の解説(その1)

【今回の狙い】

 連載第15回からは、「人材版伊藤レポート2.0」が示した「5つの共通要素」の解説にはいっていきます。今回は、「共通要素1」について解説していきます。

 

【今回の主なターゲット】

  • 取締役会、取締役会事務局
  • 経営戦略部門
  • サスティナビリティ部門
  • 人事部門担当
  • IR担当

 

1 人材版伊藤レポートの全体像の振返り

 今回から、人材版伊藤レポートおよび人材版伊藤レポート2.0が示した「3つの視点・5つの共通要素」の「5つの共通要素」に入っていきます。

 まず、具体的な内容に入る前に、今一度人材版伊藤レポートおよび人材版伊藤レポート2.0の全体像を振り返りましょう。

 人材版伊藤レポートは、「取締役会が果たすべき役割・アクション」、「経営陣が果たすべき役割・アクション」、そして「投資家が果たすべき役割・アクション」を示しました。

 そのうち、実際に人材戦略を構築・実行する「経営陣が果たすべき役割・アクション」が特に重要であり、その経営陣が人材戦略を構築・実行するにあたっての視点や、重要な共通要素を示したのが、「3つの視点・5つの共通要素」になります。

 そして、人材版伊藤レポート2.0では、「3つ視点・5つの共通要素」という枠組みに基づいて人材戦略を検討していくにあたり、参考となるべき「アイデアの引出し」を示しています。

 「3つの視点」と「5つの共通要素」では、「視点」の方が抽象度の高い内容になっており、「5つの共通要素」はその視点をより「要素」に落とし込んだものになります。

 こうした構造にあることから、今回から解説する「5つの共通要素」が最も具体化された内容ということになりますが(といっても、レポートの性質上、一定の抽象度は残ります。)、「3つの視点」とやや重なるところもあります。

 

図:「経営陣の役割」、「3つの視点」、「5つの共通要素」の構造のイメージ

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(ほった・ようへい)

2016年弁護士登録(第69期。第二東京弁護士会)。2017年鳥飼総合法律事務所入所。
2018年7月現在の事務所へ移籍。2018年10月から経済産業省経済産業政策局産業人材政策室(当時。現在は「課」)に任期付き職員として着任。
経済産業省では、兼業・副業の推進、テレワークの推進、フリーランス政策等の柔軟な働き方に関する政策立案や、人材版伊藤レポートの策定等の人的資本経営の推進に関する政策立案等に従事。経済産業省から帰任後も人的資本経営の実践・開示に関するセミナーや寄稿を行う。

 

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