東京地裁、カッパ・クリエイト社ほかに対し、
競合他社の営業秘密にあたるデータを不正使用したとして
不正競争防止法違反(営業秘密侵害)で有罪判決言渡
岩田合同法律事務所
弁護士 深 沢 篤 嗣
2024年2月26日、東京地裁が、カッパ・クリエイト社ほかに対し、競合他社である「はま寿司」の営業秘密にあたるデータを不正使用したとして不正競争防止法違反(営業秘密侵害)で有罪判決を言い渡したので、事案の概要等につき解説する。
大手回転寿司チェーン「はま寿司」を運営する株式会社はま寿司(以下、「はま寿司」という。)の親会社である株式会社ゼンショーホールディングス(以下、「ゼンショーHD」という。)の幹部社員が、2020年11月1日に、競合先である「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト株式会社(以下、「カッパ社」という。)に転職し、その翌年2月に同社社長に就任した(以下、同人を「元社長」という。)。その際、元社長が、はま寿司の営業秘密をカッパ社に持ち込み不正使用したとして、今般、カッパ社に有罪判決が下された。
以下、本事案および不正競争防止法上の営業秘密侵害罪の概要について解説する。
1 本事案の概要
上記のとおり、元社長は、はま寿司の親会社であるゼンショーHDから、カッパ社に転職し、2021年2月、同社社長に就任した。
元社長は、転職直前の2020年9月30日、はま寿司の商品原価や食材の仕入先、仕入価格等の情報(以下、「本件秘密情報」という。)を、同社の元部下に指示して外部のサーバにアップロードさせ、当該情報を、転職後の同年11月9日、カッパ社の商品本部商品部長(以下、「本件商品部長」という。)に送信した上、同年12月1日から、同人に対し、カッパ社の業務として、本件秘密情報を用いて、はま寿司が提供する商品の原価とカッパ社が提供する商品の原価とを比較したデータファイルを作成するよう指示し、同月17日から21日にかけて、同人と共謀して当該データファイルを作成した(下図参照)。
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(ふかざわ・あつし)
岩田合同法律事務所パートナー。2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2009年弁護士登録。2013年4月から2014年3月まで、金融庁証券取引等監視委員会取引調査課に出向、インサイダー取引、相場操縦行為等の調査に携わる。金融法務、企業法務等を専門とする。
岩田合同法律事務所 https://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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東京地裁、カッパ・クリエイト社ほかに対し、競合他社の営業秘密にあたるデータを不正使用したとして不正競争防止法違反(営業秘密侵害)で有罪判決
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tob_wg/shiryou/20230908.html