デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 〔とりまとめ(案)〕(前編)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 張 超 鵬
1 はじめに
近年、生成AIやメタバース等の新たな技術やサービスの進展・普及により、デジタル空間がさらに拡大・深化し、また、デジタル空間におけるステークホルダーも多様化しつつある中、実空間にも影響を及ぼし得る新たな課題も発生している。このような状況を踏まえ、総務省は、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討するために「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(以下「本検討会」という。)を開催している。また、事業者のビジネスモデルに起因する課題への対応等を専門的見地から検討するために、本検討会の下にワーキンググループが設置されている(以下、「WG」という。)。
約半年間の議論を経て、2024年7月1日には、中間的な成果としてデジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会ワーキンググループ「中間とりまとめ(案)」が公表された[1]。
さらに、2024年7月16日に開かれた第25回検討会(第32回WGと合同開催)において、「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 とりまとめ(案)」(以下、「とりまとめ(案)」という。)が公表された[2]。とりまとめ(案)は、2024年8月20日まで意見募集に付されており[3]、その結果を踏まえてさらに議論が行われる予定である。
とりまとめ(案)は以下の6章から構成されている。
第1章 |
デジタル空間における情報流通を取り巻く環境の変化 |
第2章 |
様々なステークホルダーによる課題への対応状況 |
第3章 |
諸外国等における対応状況 |
第4章 |
デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた対応の必要性と方向性 |
第5章 |
情報流通の健全性確保に向けた基本的な考え方 |
第6章 |
総合的な対策 |
本稿では、前編(第1章~第3章)と後編(第4章~第6章)の2回に分けて、その内容を概観する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(ちょう・ちょうほう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト弁護士。2016年復旦大学(中国)法学部卒業。2019年早稲田大学大学院法学研究科知的財産権法専攻修士課程修了。2021年大阪大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2017年中国司法試験合格。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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